ΣΤΟΙΧΕΙΑ
― 西洋古典原論 ―


PROFILE


Author:兎狐
自然栽培農家。のら仕事に出ているので更新はまちまち。
RSS1.0

CATEGORY


  • 『ラテン語動詞の完了幹形成法』 (1)
  • 『フランス語動詞の活用の覚え方』 (2)
  • 『ラテン詩の規則』 (1)
  • 名詞 〔曲用〕 (2)
  • 名詞 〔接尾辞〕 (1)
  • 名詞 〔第3変化名詞〕 (1)
  • 形容詞 〔接尾辞〕 (1)
  • 副詞 〔接尾辞〕 (2)
  • 動詞 (5)
  • 動詞 〔完了幹〕 (3)
  • 動詞 〔完了分詞幹〕 (7)
  • 接頭辞 (5)
  • yomimono (7)
  • ローマ帝国の歴史 (1)
  • ドロア (2)
  • ドロア(『ラテン詩の規則』専用) (4)
  • ストバイオス (1)
  • yomimono


  • キケロー『カティリーナ弾劾演説』
  • プラトーン『ソークラテースの弁明』
  • セネカ『ルーキーリウス宛第7書簡』
  • ストバイオス『精華集』
  • Main Article


  • + ラテン語動詞の活用

    —– 活用早見表 (埋め込みPDF)

    —– 活用練習帳 (埋め込みPDF)


    + ラテン語動詞の完了幹形成法

    —– I. s-完了幹


    + ラテン詩の規則

    —– ウェルギリウス『アエネーイス』に学ぶラテン詩の規則 


    + フランス語動詞の活用の覚え方

    —– 1. Groupe A

    —– 2. Groupe B




  • スポンサーサイト
    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。


    【--/--/-- --:--】 スポンサー広告




    N-d/t- 動詞の ppp. 幹形成法
    最終更新 (11/14): d/t- 動詞の ppp. 幹形成法

    タイトルを読み下すと「現在幹に鼻音接中辞を有する歯茎閉鎖音幹 (d/t-) 動詞の完了受動分詞幹の形成法」となる。現在幹に鼻音接中辞を有する動詞 (nasal-infixed verbs: N-動詞)とは、PANDO や PINGO のような動詞のことである。

    d/t- 動詞の ppp. 幹形成法
    歯茎閉鎖音 (Alvelolar stop: d, t) を語根末に持つ動詞 (d/t- 動詞) の多くは語根に直接接辞を添えて完了受動分詞 (Past Passive Participle: ppp.) 幹を形成する。この種の d/t- 動詞の ppp. 幹は語根末子音と接辞の頭子音との衝突によって音韻変化を起こして ss- 幹を形成するが、その接辞を -t と -s のどちらと捉えるかによってその歯擦化 (assibilation) の説明方法は異なる。

    【d/t-t の場合】母音に挟まれた tt-1*tst- を経て ss- となる。

    1 d は無声化する : [+vce] → [-vce] / ___[-vce]
    (有声子音 (voiced consonant) は無声子音の前の無声化する)

    【d/t-s の場合】母音に挟まれた ts- における t は歯擦化2して ss- となる。

    2 [+cor, -son] → [+strid] / ___[+strid]
    (舌頂音 (coronal) でかつ共鳴音 (sonolant) でない子音は後続する粗擦音 (strident) の前で粗擦化する)


    また、ss- は次の状況下で s- になる : ss → s / σ‾___ 3

    3 ss- は直前の音節 (σ) が開音節で重音節 (σ‾) である(長母音か二重母音をもつ)場合、簡素化されて s- となる。
    e.g. fissus : fi = 軽音節 (σ˘), fūsus : fū = 重音節 (σ‾)


    d/t- 動詞の場合は上の規則通りに形成されるが、N-d/t- 動詞の場合、たとえば passus (ss-型 PANDO), fūsus (s-型 FUNDO), pēnsus (ns-型 PENDO) のように、その ppp. 幹形成法にはばらつきがあり、この多様性が N-d/t- 動詞の ppp. 幹を覚える際の弊害となっていることは容易に察しがつく。そこで、まず d/t- 動詞の ss- 型と s- 型の ppp. 幹の全容を明らかにし、続いて ns- 型を概観し、N-d/t- 動詞の ppp. 幹形成法を規則のもとで捉えられるようにしたい。

    a-d/t-
    ass- : quassus (QUATIO), fassus (FATEOR), passus (PATIOR), passus (PANDO)
    ās- : cāsus (CADO, -CIDO), rāsus (RĀDO), vāsus (VĀDO), suāsus (SUĀDEO)
    e-d/t-
    ess- : messus (METO), -fessus (-FITEOR), cessus (CĒDO), sessus (SĪDO), sessus (SEDEO, -SIDEO), gressus (GRADIOR, -GREDIOR)
    ēs- : frēsus (FRENDO), ēsus (EDO)
    i-d-
    iss- : fissus (FINDO), scissus (SCINDO)
    īs- : vīsus (VIDEO), fīsus (FĪDO), -cīsus (-CĪDO), -līsus (LĪDO), rīsus (RĪDEO)
    o-d-
    oss- : fossus (FODIO)
    ōs- : rōsus (RŌDO), -plōsus (-PLŌDO), ōsus (—, cf. ōdī)
    u-d/t-
    uss- : -cussus (-CUTIO)
    ūs- : fūsus (FUNDO), tūsus (TUNDO), rūsus (RŪDO), trūsus (TRŪDO), clūsus (CLŪDO)
    au-d-, ae-d-
    aus- : ausus (AUDEO), clausus (CLAUDO), plausus (PLAUDO)
    aes- : caesus (CAEDO), laesus (LAEDO), taesus (TAEDO)
    r-d-
    rs- : arsus (ARDEO), morsus (MORDEO)

    s- 型、ss- 型のどちらになるかは動詞ごとに声に出して覚えてしまうのが最も効率的であるが、その際に意識しておいた方が良い事柄を幾つかピックアップしておきたい。

    [1] cāsus (-CIDO < CADO), -cīsus (-CĪDO < CAEDO) の関係、sessus (SEDEO, -SIDEO), sessus (SĪDO) の関係、および passus (PANDO), passus (PATIOR) の関係には注意しておいた方が良い。
    [2] ss- 型と s- 型の見分け方としては、語根母音が短音であれば ss- 型、長音であれば s- 型であると言える (e.g. fassus FATEOR, rāsus RĀDO)。ただ、そうすると例外が発生する。ss- 型の例外は cessus (CĒDO) と sessus (SĪDO)、s- 型の例外は cāsus (CADO), frēsus (FRENDO), ēsus (EDO), vīsus (VIDEO) である。ss- 型の例外については、それぞれ *cēsus, *sīsusとはならないので注意。この2動詞の語根の原型はそれぞれ *cezd-, *sizd- であって、この原型語根に直接 t- 接辞を添えて *zdt- > *sdt- > *sss- > ss- という過程を仮定すると、ppp. 幹 cessus, sessus の説明が付くように思われる。すなわち、CĒDO, SĪDO の現在幹における長母音は代償延長の結果であり、もとの語根母音は短母音である。つまり、この2動詞に確認されるように、必ずしも現在幹に語根がそのまま現れているとは限らない。一方、s- 型の例外については Lachmann’s Law によって説明が付く (Vd-t- における母音 V は長音化する。ただし、この規則には例外がある; cf. passus, sessus, gressus, &c.)。
    [3] t- 動詞は必ず ss- 型の ppp. 幹を形成するが、このことは Lachmann’s Law (LL) と無関係ではない (Vt-t における母音 V は短音を維持する)。これらのことから「t- 動詞は ss- 型、d- 動詞は s- 型になる」と単純化したくなるが、上述のように ss- 型には複数の d- 動詞が含まれていることは忘れられるべきではない。fissus (FINDO), scissus (SCINDO) もそこに含まれるが、この2動詞において LL が適用されない理由としては、i が最弱母音 (weakest vowel) であることと関係しているとする見方が有力である。このことについては、次稿の i-N-c/g- (ict-) の箇所も参考のこと。
    [4] uss- タイプの ppp. 幹として QUATIO の派生形 -CUTIO しか例に挙げていないが、名詞 tussis 「咳」は TUNDO 「打つ」の ppp. 幹 tūsus に由来する。語幹 tuss- の形態については 、この語がオノマトペであることが考慮される (de Vaan, s.v. tussis)。

    続いて、N-d/t- 動詞特有の ns- 型の ppp. 幹を概観する。

    a-N-d-
    āns- : mānsus (MANDO), prānsus (PRANDEO), *scānsus (SCANDO), *-cānsus (*CANDO)
    e-N-d/t-
    ēns- : sēnsus (SENTIO), -hēnsus (PREHENDO), -scēnsus (-SCENDO), -fēnsus (dē-FENDO), tēnsus / tēntus (TENDO), pēnsus (PENDO), -cēnsus (-CENDO)
    o-N-d-
    ōns- : spōnsus (SPONDEO), tōnsus (TONDEO)

    [5] N-d/t- 動詞は s- 型、ss- 型にも現れたが、このようにその大部分は ns- 型である。その際、Vnd/t-t- は Vˉns- となる(Vˉ = 長母音)。ppp. 幹に現れる -n- は本来現在幹にのみ現れるものであるが、このように大部分の N-動詞で ppp. にまで及んでいることが確認される。
    [6] 御覧の通り ns- 型は a-N-d-, e-N-d-, o-N-d- 動詞にのみ当てはまるものであるが、ただし tūsus (TUNDO) には tūnsus という別形があることは覚えておいて方が良い。
    [7] passus (PANDO) については、辞書等で passus [pānsus] と表記されることが多いが、たとえば EXPANDO の場合、大プリニウスが独り『博物誌』において expāns- の形を繰り返し使用しているのに拠ったものに過ぎず、通常 expass- が用いられる。このように、 pāns- の方は軽視して差し支えないだろう。

    〔まとめ〕
    N-d/t- 動詞の ppp. 幹形成法は以上3つの型すべてに分散しており、ss- 型には passus, fissus, scissus の3つが、s- 型には frēsus, fūsus, tūsus の3つが属するが、その他の大部分の N-d/t- 動詞は ns- 型である。 別の見方をすると、a-N-d- 動詞のうちで ppp. 幹が ns- 型にならないのは passus のみであり、e-N-d- 動詞は frēsus のみである。それ以外の a-N-d-, e-N-d- 動詞、および o-N-d- 動詞はすべて ns- 型である。
    一方、i-N-d- 動詞と u-N-d- 動詞の ppp. 幹に鼻音が現れることはなく、i-N-d- 動詞は ss- 型 (iss-), u-N-d- 動詞は s- 型 (ūs-) の ppp. 幹を形成する。
    なお、N-t- 動詞で ppp. 幹を s- によって形成する動詞は SENTIO のみであるため、歯茎閉鎖音幹の N-動詞は N-d- 動詞が中心となる。
    また、ns- 型のように ppp. 幹にまで -n- が及ぶ動詞は、TENDO tetendī tēnsus のように、完了幹にも決まって -n- が現れるので、N-d/t- 動詞の場合は完了幹とセットで覚えてしまうと一石二鳥である。ただし、passus (PANDO) の完了幹は pandī であるので注意。先に passus [pānsus] の表記に言及したが、 [pānsus] の形が記載されるのもこのことと無関係ではない。大プリニウスが expāns- の形をごく自然に使用できたのもこのためと思われる。対照的に、ppp. 幹に -n- の及ばない i-N-d- 動詞 (iss-) とu-N-d- 動詞 (ūs-) では、完了幹にも -n- が現れることがないと言うことができる (cf. fidī ; scicidī, -scidī ; fūdī ; tutudī, -tudī)。



    【2013/10/15 01:48】 動詞 〔完了分詞幹〕 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0)




    この記事に対するコメント


    この記事に対するコメントの投稿













    管理者にだけ表示を許可する


    この記事に対するトラックバックトラックバックURL
    →http://fennecc.blog.fc2.com/tb.php/26-c9077d59

    TOPへ


    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。