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― 西洋古典原論 ―


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Author:兎狐
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    N-c/qu/g/gu- 動詞の ppp. 幹形成法
    (「N-d/t- 動詞の ppp. 幹形成法」続編)
    Lachmann’s Law

    軟口蓋閉鎖音 (Velar Stop; c, g) 幹および両唇軟口蓋閉鎖音 (Labiovelar Stop; qu, gu) 幹動詞の ppp. 幹形成法を扱うには Lachmann’s Law (LL) に触れておく必要がある。Lachmann's Law は非常に話題性のあるトピックであるが、本稿に関わる事項に限って言えば、話はごく単純である。ct- 型の ppp. 幹では、語根末子音が Voiceless (c-/qu-) であれば ct- の直前の母音は語根の短母音を維持し、Voiced (g-) であれば長音化する、というものである。ただし、語根母音は必ず短母音であるとは限らず、ĪCO, DĪCO, DŪCO, LŪCEO の4動詞は長音の母音を持つ。しかし、その場合にも ppp. 幹はそれぞれ ictus (ĪCO), dictus (DĪCO), ductus (DŪCO), — (LŪCEO) となることから、「語根末子音が c/qu- であれば、ct- の直前の母音は必ず短音である」と言える。

    例: factus (FACIO), doctus (DOCEO), coctus (COQUO)

    それに対して、「語根末子音が g- であれば、ct- の直前の母音は必ず長音である」。

    例: āctus (AGO), rēctus (REGO), frīctus (FRĪGO)

    c/g- 動詞は数が圧倒的に多く、しかもその大半が ct- 型の ppp. を形成する。それらすべてをここに抜き出すことも可能ではあるが、そうするとあまりにも煩雑になる上、この規則を知っていればその必要もないだろう。

    〔LL 研究の梗概〕

    PPP. 幹における語根母音長音化の法則は、Karl Lachmann がルクレーティウス『物の本性について』の注解の中で公式化したものである (I.805)。この公式化は始まりに過ぎず、以来、Osthoff, Pedersen, Sommer, Meillet . . とその研究は連綿と受け継がれてきた。その研究成果はすべて Lachmann's Law を主題に記述されるのが慣わしであるが、ゆえに彼一人が提唱したものという誤解を招く恐れもある。次の Kent の論文もその一つであるが、そこでは LL の初期の発展過程が簡潔にまとめられており、深く追求するならば一読に値する。

    Kent, R. G., (1928), "Lachmann's law of vowel lengthening", in Language 4;3. pp. 181-190.

    次の Sukač の論文では最近の研究成果が批判検討されており、非常に参考になる。

    Sukač, R., (2012), "Lachmann's law (Part 1)", in Linguistica Brunensia 60. pp. 13-36. [PDF]




    さて、本題の N-動詞の ppp. 幹形成法である。N-d/t- 動詞の ppp. 幹形成法で確認したのと同じように、鼻音接中辞 -n- が ppp. 幹にまで及ぶものと現在幹に止まるものとに分かれるのは、N-c/g- 動詞でも同じである。すなわち、N-c/g- 動詞の ppp. 幹は ct- 型 (11) と nct- 型 (14) とに分かれる。単純に数の対比でいえば 11 : 14 と微妙であり、覚えるに際して何のあてにもならない。ともかく、まずはその全貌を明らかにしておこう。

    a-N-c/g-
    act- : nactus / nānctus (NANCĪSCOR), pāctus (PANGO), frāctus (FRANGO), tāctus (TANGO)
    ānct- : nānctus / nactus (NANCĪSCOR), sānctus (SANCIO), ānctus / ānxus (ANGO), plānctus (PLANGO)
    i-N-c/qu/g/gu-
    ict- : victus (VINCO), lictus (LINQUO), fictus (FINGO), pictus (PINGO), rictus (RINGOR), strictus (STRINGO)
    īnct- : vīnctus (VINCIO), cīnctus (CINGO), līnctus (LINGO), pollī(n)ctus (POLLINGO), tīnctus (TING(U)O), stīnctus (STINGUO)
    u-N-g/gu-
    ūnct- : fūnctus (FUNGOR), iūnctus (IUNGO), -mūnctus (ē-MUNGO), pūnctus (PUNGO), ūnctus (UNGUO)

    [1] N-c/g- 動詞は a-N-, i-N-, u-N- の3種だけであって、ct- 型は a-N- と i-N- によって占められている。裏を返せば、u-N-g/gu- 動詞の ppp. 幹は必ず -n- を残して ūnct- となる。 i-N-d-, u-N-d- 動詞の ppp. 幹には -n- が現れることがなかったが、N-c/g- 動詞では ānct-, īnct-, ūnct- と、a-N-, i-N-, u-N- すべてに -n- の現れる可能性がある。
    [2] nct の直前の母音は必ず長音である。
    [3] 「現在幹が g- 幹であれば、ct- の前の母音は必ず長音である」(LL) ということであったが、i-N-g- 動詞の ct- 型を見れば明らかなように、i-N-g- 動詞はこの制約を受けず、ĭct- となる。それゆえ、*fīctus, *-līctus, *pīctus, *rīctus, *strīctus とならないことに注意する必要がある。一方、nactus と pāctus の違いに見られるように、a-N-c/g- 動詞は LL に忠実である。これは、母音 a が強母音であり i が弱母音であることと関係がある。ただし、fīctus (FĪGO), flīctus (FLĪGO), frīctus (FRĪGO) のように、語根母音 i が長音である場合にはその長音を維持する。
    [4] ここに SC-動詞 (NANCĪSCOR) が1つ現れたが、この動詞も N-動詞と同じく、 sc- は本来現在幹にしか現れないため、ppp. 幹の形成においては省かれる (NANC-)。この動詞の ppp. には nactus と nānctus の2形態が存するが、どちらも多用されるので両方覚えておいた方が良い。
    [5] ns- 型の ppp. 幹を形成する N-d/t- 動詞においては完了幹にも -n- が確認されるように、nct- 幹を形成する N-c/g- 動詞の場合も大体同じことが言える。ただし、ict- 幹の完了幹には -n- が及ぶものがあるので注意: fīnxī, fictus / -līnxī, -lictus / pīnxī, pictus / strīnxī, strictus (cf. PANDO pandī passus)。ただし、vīcī, victus, līquī, lictus は規則通りである。ppp. 幹が ict- になる N-動詞で完了幹に -n- が現れるものは s- によって完了幹を形成する場合であり、語根母音の長音化によって形成する場合には現れないと言える。
    [6] PUNGO は nct- 型の ppp. 幹を形成するが、畳音完了幹は pupugī -pūnxī であって、tetendī (TENDO) のように *pupungī とはならない。
    [7] act- 幹の完了幹については「-pēgī? -tigī? (PANGO / TANGO)」を参照のこと。
    [8] victus (VINCO), vīnctus (VINCIO), vīctus (VĪVO) の関係は覚えるに際して意識しておく必要があるだろう。
    [9] pāctus (PANGO) は PACĪSCOR の ppp. pactus との混同に注意。


    〔追記〕
    また、本稿では ppp. 幹形成法に的を絞ってきたため、鼻音接中辞 -n- の機能については一切触れてこなかった。簡単に言ってしまえば、たとえば IUNGO 「繋ぐ」 (cf. iugum 「くびき」) や STRINGO 「縛る」 (cf. striga 「穀束」) のように、継続相 (durative aspect) を示す働きをすることが多い。



    【2013/10/18 01:33】 動詞 〔完了分詞幹〕 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0)




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