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― 西洋古典原論 ―


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Author:兎狐
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    『カティリーナ弾劾演説』 — 第1演説
    2014.1.10-
    『カティリーナ弾劾演説』読書会開催中(FC2掲示板)

    途中参加も随時受付中です。〈読書会窓口〉トピックへその旨お知らせください。
    また、スパム対策のためパスワードを設定しております。パスワードは【 catilina 】です





    M. TVLLIVS CICERO
    Orationes In L. Catilinam

    — ORATIO PRIMA —

    訳はこちら


    Exordium
    [1] [2]

    Digressio
    [3] [4] [5] [6]

    Argumentatio
    [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27]

    Digressio
    [28] [29] [30] [31] [32]

    Peroratio
    [33]




    [1] (1) quō usque tandem abūtēre, Catilīna, patientiā nostrā? (2) quam diū etiam furor iste tuus nōs ēlūdet? (3) quem ad fīnem sēsē effrēnāta iactābit audācia? (4) nihilne tē nocturnum praesidium Palātī, nihil urbis vigiliae, nihil timor populī, nihil concursus bonōrum omnium, nihil hic mūnītissimus habendī senātūs locus, nihil hōrum ōra voltūsque mōvērunt? (5) patēre tua cōnsilia nōn sentīs, cōnstrictam iam hōrum omnium scientiā tenērī coniūrātiōnem tuam nōn vidēs? (6) quid proximā, quid superiōre nocte ēgeris, ubi fueris, quōs convocāveris, quid cōnsilī cēperis quem nostrum ignōrāre arbitrāris?

    (1)「一体いつまでお前は、カティリーナ、我々に我慢を強いるつもりなのか。」


    quo usque どこまで(場所) → いつまで(時間)
    tandem 疑問を強め、責めている感じがでている。
    abutere = abuteris = ABUTOR {fut. ind. 2sg.} / [ab-UTOR] UTOR = 使う (cf. Eng. use) → ab-UTOR 使って空にする → 湯水のように使う。 何を? patientia nostra 「我々の忍耐」を。奪格名詞 patientia(=容器)からその中身をどんどん使う (ab + abl.)。


    (2)「一体いつまでお前のその狂乱は我々を翻弄し続けるのか。」


    quam diu 期間を問う = quamdiu.
    etiam 疑問文を重ねる。「さらに」
    furor iste tuus furere 「気が狂う」から派生した名詞。
    nos eludet ELUDO は LUDO 「遊び戯れる」→ e-LUDO「(うまく)避ける」→「(相手を)もてあそぶ」


    (3)「いつまで抑えの効かない放胆さを誇示し続けるのか。」


    quem ad finem 今度は最終地点を問う形式で(期間)。
    sese . . iactabit 再帰的用法。自分を投げる → 見せつける、自慢する
    effrenata . . audacia frenum = 手綱, frenatus = 抑制された → EX-frenatus 抑制の外れた。隠喩。


    (4)「お前はパラーティウムの夜の見張にも、都の夜警にも、人々の怖れにも、善良な市民の団結にも、そしてこの上なく厳重に警備されているこの元老院議場にも、これら議員たちの表情にも、何にも怯むことがないのか。」


    nihilne . . ? nihil が強調された形の疑問文をつくる。以下、nihil が接辞なしで繰り返される (asyndeton).
    nocturnum -URNUS cf. diurnus. praesidium praeses (praesid-) 「(前に座る)門番」 + -IUM で抽象化して「警備」
    vigiliae {f. pl. nom.} vigil (adj.) 不眠の、夜通しの + -IA 「寝ずの番」
    timor TIMEO 「恐れる」+ -OR で状態を名詞化 → 「恐怖」
    concursus -ūs (m.) currere 「走る」+ CON- 「駆け寄り集う」 + -US 「こと」→「集合」
    habendi senatus locus habendi = 動形容詞 (gerundive) senatus に照応 (sg. gen.). ユピテル・スタトル神殿。
    horum 「これらの(口と顔)」。議場に立つキケローが手を広げて示している姿が浮かぶ。
    moverunt {pf. ind. act. 3pl.} 直訳では、「~も~もお前を怯ませることはなかったのか」


    (5)「お前は企みがばれているのに気付かないのか。もう制圧されているのが、ここにいる議員全員の理知によって、お前の陰謀が掌握されているのが、分からないのか。


    patere . . constrictam . . teneri という同義的な3つの表現がリズミカルに並べられている。
    sentis, . . vides? これらも同義的で「気付く」の意。
    horum omnium scientia 手段の奪格。これはキケローの謙遜と言うか、自分が目立ち過ぎないようにするための配慮というか。しかし甲斐なく、事後やり玉に挙げられることになる。
    constrictam . . teneri . . vides? [= constrictam (esse et) teneri . . vides?] STRINGO = 縛る, CON- = (まとめて)縛りあげる。この感じを訳に出すのは難しい。TENEO = 掴む、捕える


    (6)「昨日と一昨日の晩、お前が何をしていたか、何処にいたか、誰を招集していたか、どのような計画が話し合われていたか、我々のうちの誰がそれを知らないと思っているのだ。


    quid proxima, quid superiore nocte : 接辞の代わりに quid が重ねられ、強調される。
    quid . . , ubi . . , quos . . , quid . . : 間接疑問。
    egeris, . . fueris, . . convocaveris, . . ceperis : {pf. subj.} 間接疑問文中における接続法。
    quid consili : 部分の属格。「どんな計画、会議を(もっていたか)」
    quem nostrum : 部分の属格。「我々のうちの誰が」。不定詞 ignorare の対格主語。arbitraris {pres. ind. dep. 2sg.}



    [2] (1) Ō tempora, ō mōrēs! senātus haec intellegit, cōnsul videt; hic tamen vīvit. (2) vīvit? immō vērō etiam in senātum venit, fit pūblicī cōnsilī particeps, notat et dēsīgnat oculīs ad caedem ūnum quemque nostrum. (3) nōs autem fortēs virī satis facere reī pūblicae vidēmur, sī istīus furōrem ac tēla vitāmus. (4) ad mortem tē, Catilīna, dūcī iussū cōnsulis iam prīdem oportēbat, in tē conferrī pestem quam tu in nōs omnis iam diū māchināris.

    (1)「ああ、何たる世の中、何たる退廃。元老院がこれらのことを認知していて執政官が気付いているというのに、こいつはなおも生きているのだ。」


    o tempora, o mores : {pl. acc.} 嘆きの対格。MOS「習慣」は複数で「道徳」。それについて嘆かれるので「退廃」と訳している。この感嘆の理由は以下で記されるので、キケローが突然嘆き出したことに一同驚いたことだろうと思う。
    senatus haec intellegit, consul videt : {pres. ind. act. 3sg.} haec {neut. pl. acc.} はカティリーナがたくらんでいること。複数の罪状。 consul の単数は、キケローの同僚執政官ヒュブリダはこのことを知らないだろうという含みをもつ。
    hic tamen vivit : hic = Catilina. おそらく指さして「こいつ」。tamen 譲歩的接続詞「それにもかかわらず」 vivit {pres. ind. act. 3sg.}


    (2)「生きているだと。いや、それどころではなく、元老院に近づいて国家公共の審議員の一員にまでなり、我々ひとりひとりを暗殺対象として両眼で注視し選定しているのだ。」


    immo vero immo は前言を訂正する文を導入する接続詞。vero も「正確には」といった感じで、このようによく一組で使われる。
    etiam senatum venit, fit publici consili particeps : この etiam は「~さえ、すら」といった感じで、極端さを表す。 VENIO は「称号を得る」という意味にもなるが、ここは単に「近づいた」と解す。 fit = FIO {pres. ind. 3sg.} 「~になる」。この2動詞が現在時制で使用されているのは面白い。
    notat et designat . . ad caedem : NOTO 付箋を付ける, DESIGNO (印をつけて)分ける、整える, (ad + acc.) = 目的. oculis 「目で」。現に今こんなことをしていると言われると、カティリーナも目を伏せざるをえない。いよいよキケローの独擅場といった感じ。あの有名な画でカティリーナは項を垂れた姿で描かれているのはこのため。
    unum quemque nostrum : nostrum = 部分の属格, UNUS "one" QUISQUE "each" 「一人づつ」


    (3)「しかるに我々勇者は奴の狂乱する武器を避ければ国家に十分奉仕したことになる。」


    —— nos autem fortes viri satis facere rei publicae videmur : fortes viri は nos と同格で、皮肉的。あえて「勇者」の訳語を選んだ。「我々は奴の武器を避ける事しかできない勇者だ」という意味を読みとる。 / satis facere = satisfacere / rei publicae 利害の与格 / videmur VIDEO の受動態は「~と思われる、みなされる」の意味で非人称的に用いられることが多いが、ここは人称的に用いられる。行為者(与格、誰によってか)は示されない。
    —— si istius furorem ac tela vitamus : istius 代名詞 iste はここで軽蔑的に使用される / furorem ac tela Hendiadys 「狂った武器」 / vitamus {pres. ind.} ここは Maslowski の校訂に従い vitemus {pres. subj.} と読み、仮想的な話として読む。


    (4)「カティリーナよ、お前が死の淵に追いやられることは執政官の命令によって兼ねてより決まっていたことだ。これまでお前が我々全員に対して謀ってきたところの破滅が、お前にもたらされるのだ。」


    —— ad mortem te, Catilina, duci iussu consulis iam pridem oportebat : 「お前が te / 死へと ad mortem / 導かれること duci {pres. inf. pass.}」が、「執政官の命令によってiussu consulis / 求められていた oportebat {impf. ind. act. 3sg.}」 oportebat は「~すべき」の訳語が示す通り、要求の表現であり、未完了過去の解し方によっては「~すべきであった」となるが、iussu consulis はこの2カ月前の senatus consultum ultimum (元老院最終決議)によって示されていたため、「~すべきと(判断)された」の意で解する。
    —— in te conferri pestem quam tu in nos omnis iam diu machinaris : これは先の ad mortem duci の言い換えで、mortem - pestem / ducere - conferre の対応が読みとられる。 / omnis = omnes {masc. pl. acc.}


    [3] (1) an vērō vir amplissimus, P. Scipiō, pontifex maximus, Ti. Gracchum mediocriter labefactantem statum reī pūblicae prīvātus interfēcit: Catilīnam orbem terrae caede atque incendiīs vastāre cupientem nōs cōnsulēs perferēmus? (2) nam illa nimis antīqua praetereō, quod C. Servīlius Ahāla Sp. Maelium novīs rēbus studentem manū suā occīdit. (3) fuit, fuit ista quondam in hāc rē pūblicā virtūs ut virī fortēs ācrioribus suppliciīs cīvem perniciōsum quam acerbissimum hostem coercērent. (4) habēmus senātūs cōnsultum in tē, Catilīna, vehemēns et grave, nōn dēest reī pūblicae cōnsilium neque auctōritās hūius ōrdinis: nōs, nōs, dīcō apertē, cōnsulēs dēsumus.

    (1)「実際、きわめて偉大な男プブリウス・スキピオー、かの神祇官長官は、国家の土台を僅かに揺るがす者としてティベリウス・グラックスを私人として殺めたというのに、我々は執政官でありながら全世界を殺戮と大火によって壊滅せんとするカティリーナを見過してよいのだろうか。」


    —— an vērō vir amplissimus, P. Scipiō, pontifex maximus . . prīvatus interfēcit : P. Scipio = Publius Cornelius Scipio Nasica Serapio. / an = nonne 普通は選択疑問の接続詞として用いられるが、ここはちょうど nonne (-ne) と同じように使われている。つまり、肯定を予期した疑問文を導く。"An vero . . ?" は、カティリーナ弾劾演説ではこの箇所のみだが、キケローが好んで用いる表現のひとつ。 / vero 「実際」。以下、執政官命令によってカティリーナ誅殺の決定が下されたことの正当化である。具体例をあげて、国家を守るためには仕方のないことであると力説する。 / amplissimus = AMPLUS {superl. masc. sg. nom.} この語は AMES ~itis (m.) (=鳥を捕獲する網をはるためのポール) と同根で、大きく広がったものをイメージさせる。 -p- は語中音挿入であり (am-lo-) 、PLUS とは無関係である。/ privatus スキピオー・ナーシーカはその当時(前133年)まだ政務に就いていなかった。
    —— Ti. Gracchum mediocriter labefactantem statum reī pūblicae : Tiberius Sempronius Gracchus はグラックス兄弟の兄の方。格差拡大の緩和を狙い、護民官 (tribunus plebis) として農地法を改めようとした。護民官は民衆の代表としてその身体は不可侵 (sacrosanctus) であるとされていた。それゆえ、その護民官を殺すということは大変なことである。おそらく、"privatus" であったからこそ為し得たことだろう。/ mediocriter ocris ~i (m.) 「岩山」に基づく形容詞 mediocris の副詞形。ocris と言えばアルプス山脈のモンブランやマッターホルンといった山の姿を思い浮かべるとよいかもしれない。接頭辞 medio- には「そこまでゴツゴツしていない」といった感じがあるだろう。 / labefactantem {pf. part., masc. sg. acc.} Gracchum に照応。分詞構文。動詞 LABO -are 「揺れる」の使役。「揺らす」。
    —— Catilīnam . . nōs cōnsulēs perferēmus? : 「カティリーナを Catilinam 我々執政官は nōs cōnsulēs 耐え忍ぶのか。」nos consules ここは先の単数とは異なって複数形で「我々執政官」と言われる。同僚執政官ヒュブリダを挙げることで、決定を下すのが一人ではないことを強調する意図が読みとられる(実際はキケローの言いなりだったと思われるが)。 / perferemus {fut. ind. act. 1pl.} [per- 完遂 + ferre 運ぶ] で、荷の重さに耐えて運びきる、といった感じがある (OLD s.v. perfero 8)。
    —— orbem terrae caede atque incendiīs vastāre cupientem : 「全世界を orbem terrae 殺人と放火によって caede atque incendiis 荒廃させること vastare を、熱望する cupientem」 incendiis INCENDIUM ~i (n.) {pl. abl.} 動詞 CANDEO 「光り輝く」に基づいて意味が把握される。cupientem CUPIO {pres. part., masc. sg. acc.} Catilinam に照応。分詞構文。


    (2)「あまりに昔のことは置いておくが、ガーユス・セルウィーリウス・アハーラは革命を目論んでいたスプリウス・マエリウスを自らの手で殺害したのである。」


    —— nam illa nimis antīqua praetereō
    nam : 理由(主張の根拠)を導入する。形式的には praetereo が主文であるが、「というのも、私は省略する」では通じない。それゆえ «nam (illa . . praetereo, quod) C. Servilius Ahala . . occidit» と読む。
    illa : quod の先行詞.
    nimis : 程度の大きさを表す副詞 〔語源〕 ne + *meis (cf. minor) "not too little" → *nimīs → (iambic shortning) nimis ... de Vaan s.v. nimis
    antiqua : ANTIQUUS, a, um {neut. pl. acc.}
    —— quod C. Servīlius Ahāla Sp. Maelium novīs rēbus studentem manū suā occīdit.
    quod : 説明文(名詞節)を導入する quod. 指示代名詞 illa で暗示されていた内容が以下で明かされる。(OLD s.v. quod 2b, Gildersleeve §525. 2.)
    C. Servīlius Ahāla : Gaius Servilius Ahala 紀元前5世紀の政治家。前439年にマエリウスを抹殺し、後世に英雄として語り継がれるが、事実としての信憑性に乏しいとされる。
    Sp. Maelium : Spurius Maelium 民衆の胃袋をつかんだ男。王位を狙っているとの嫌疑がかかり、殺される。
    novīs rēbus : 「革命」 {fem. pl. dat.}。res novae {fem. pl.} あるいは nova {neut. pl.} で「革命」を意味する。「新たなもの」を築く場合、現在あるものを取り壊すことになる。それゆえ、良い意味では使われない。自動詞 (STUDEO) と共に用いられる与格 (Gildersleeve §346)。
    studentem : {pres. part., masc. sg. acc.} Maelium に照応。ここで分詞は副詞的に用いられており(理由)、現在分詞は主文の動詞との同時性を示している。
    occīdit : occīdere {pf. ind. act. 3sg.}


    (3)「かつてこの国にはこのような美徳が確かにあった。だから勇敢な男たちは容赦のない敵に科するよりももっと苛酷な償いによって堕落した市民を縛り上げたのだ。」


    —— fuit, fuit ista quondam in hāc rē pūblicā virtūs
    . fuit : SUM {pf. ind. act. 3sg.} 繰り返され、強調される。
    . ista : virtus 「美徳」に照応。ナーシーカやアハーラの美徳が念頭におかれる。
    . quondam : 「かつては」。この副詞は「それに対して今は」という流れを期待させる。
    . virtus : virūs ~ūtis (f.) 勇敢さや男らしさ、美徳。ista virtus でスキピオーとアハーラの示した美徳を一般化している。
    —— ut virī fortēs ācrioribus suppliciīs cīvem perniciōsum quam acerbissimum hostem coercērent.
    . ut : 結果文の導入。
    . acrioribus : acer 「鋭い」の比較級で suppliciis {neut. pl. abl.} に照応。
    . suppliciis : supplicium 「(許しの)嘆願 > 償い、罰」< supplex 嘆願する者 cf. plectere 「編む」. sub-+plect- で「足元に縋りつく」あるいは「膝を屈折させる」に由来すると思われる。
    . civem : civis ~is (m.) hostem 「外敵」との対比が quam を挟んでキアスムスで表現されている。
    . perniciosum : per-「完全に」+ necare「滅ぼす」→ pernicies -ei (f.)「壊滅」 + -osus 「~で満たされた(単なる形容詞形成接尾辞と見られてもよい)」→ 「(道義的に)破滅した(市民)」
    . acerbissimum : acerbus の最上級で hostem {masc. sg. acc.} に照応。単数であるが、ここは集合名詞として。外敵は常に情け容赦ないわけで、最上級は外敵の非情さのランキングに基づくものではなく、たんなる強調であると見る。
    . coercerent : 帰結文において、接続法未完了過去は主節との論。理的な繋がりを強調する意図があると言われ、反対にこれが接続法完了であった場合は、その結果の歴史的な事実性が強調されていると言われる (Woodcock "A new Latin syntax" §164)。


    (4)「カティリーナよ、我々はお前に対する厳しく深刻な元老院決議を手にしている。よって国家の機能も議員諸氏の権威も健在である。単刀直入に言うと、求められているのは我々執政官なのである。」


    —— habēmus senātūs cōnsultum in tē, Catilīna, vehemēns et grave
    .consultum : 協議によって決された事。判決、決議。
    .in te : in + 対格 = against
    並列されているが、ここまでは次の一文の根拠となる → 「決議を持っている。だから、健在である(と言える)。」
    —— nōn dēest reī pūblicae cōnsilium neque auctōritās hūius ōrdinis:
    .non deest : 否定で入って後続文への期待が高められる。
    .huius ordinis : 「この階級の」=元老院議員
    —— nōs, nōs, dīcō apertē, cōnsulēs dēsumus
    .nos, nos : 繰り返され強調される (iteratio)。
    .dico aperte : この挿入句からは、事の言いにくさが伝わる。


    [4] (1) dēcrēvit quondam senātus utī L. Opīmius cōnsul vidēret nē quid rēs pūblica dētrīmentī caperet: nox nūlla intercessit: interfectus est propter quāsdam sēditiōnum suspīciōnēs C. Gracchus, clārissimō patre, avō, maiōribus, occīsus est cum līberīs M. Fulvius cōnsulāris. (2) similī senātūs cōnsultō C. Mariō et L. Valeriō cōnsulibus est permissa rēs pūblica: num ūnum diem posteā L. Sāturnīnum tribūnum plēbis et C. Servīlium praetōrem mors ac reī pūblicae poena remorāta est? (3) at vērō nōs vīcēsimum iam diem patimur hebēscere aciem hōrum auctōritātis. (4) habēmus enim ēius modī senātūs cōnsultum, vērum inclūsum in tabulīs, tamquam in vāgīnā reconditum, quō ex senātūs cōnsultō confestim te interfectum esse, Catilina, convēnit. (5) vīvis, et vīvis nōn ad dēpōnendam, sed ad cōnfirmandam audāciam. (6) cupiō, patrēs cōnscrīptī, mē esse clēmentem, cupiō in tantīs reī pūblicae perīculīs nōn dissolūtum vidērī, sed iam mē ipse inertiae nēquitiaeque condemnō.

    (1)「かつて元老院は、国家が決して損傷を受けないよう執政官オピーミウスは取り計らうべしとの決定を下した。それから夜を越すことなく、グラックスは名高い父と祖父と先祖を持つにもかかわらず反乱を扇動した容疑で殺され、元執政官マルクス・フルウィウスは子弟共々殺されたのである。」


    —— dēcrēvit quondam senātus utī L. Opīmius cōnsul vidēret nē quid rēs pūblica dētrīmentī caperet:
    .decrēvit : 動詞 decernere はここで名詞的目的文 (ut / utī . . ) を従える。
    (v. Bennett §295 4.)
    .utī : 名詞的目的文を導入する。
    .vidēret : capere {impf. subj. act. 3sg.} 名詞的目的文における動詞はつねに接続法におかれ、現在か未完了過去のどちらかである。主文動詞 decrevit は "aorist perfect" であるから、それに照応して動詞は接続法未完了過去に置かれている。
    .ne : 名詞的目的文を導入する。ここのように ut は省略されることが多い (= ut nē)。
    .quid : quid = aliquid {neut. sg. acc.} 不定代名詞としてのquis.
    .dētrīmentī : 動詞 terere 「こする」の接頭辞派生動詞 deterere 「すり減らす」に由来し、「損害、不利益」の意。部分の属格。quid dētrīmentī で「何らかの損害」。日本語ではこのように表現するしかない。
    .caperet : capere {impf. subj. act. 3sg.} = vidēret
    —— nox nūlla intercessit:
    「一晩も挟まなかった」
    .intercessit : intercēdere {pf. ind. act. 3sg.}
    —— interfectus est propter quāsdam sēditiōnum suspīciōnēs C. Gracchus, clārissimō patre, avō, maiōribus, occīsus est cum līberīs M. Fulvius cōnsulāris.
    .interfectus est : interficere {pf. ind. pass. 3sg.}
    .propter : (prep. w. acc.) 理由。
    .quāsdam : quīdam, quaedam, quoddam {fem. pl. acc.} suspiciones に照応。
    .sēditiōnum : sēditiō ~ōnis, f. {pl. gem.} 「暴動」v. 1.3.(2) "novis rebus"
    .suspīciōnēs : 「疑い」。suspicere 「見上げる、疑う」(sub-+specere 眺める) の「疑う」は、上目をつかった様子から。
    .clārissimō . . maiōribus : 性質の奪格。センプロニウス氏族は執政官を輩出する家系に属する。ちなみに、キケローは「新人 (novus homo) 」。
    .occīsus est : occīdere {pf. ind. pass. 3sg.}
    .M. Fulvius : Marcus F~. グラックスの強力な支持者。
    .līberīs : cum + abl. (līberī ~ōrum, m.)
    .cōnsulāris : cōnsul + -āris 「元執政官」


    (2)「同様の元老院決議によって、国家はガーユス・マリウスとルーキウス・ワレリウスの両執政官に託された。それから1日として、国家による死の報復が護民官ルーキウス・サートゥルニーヌスと法務官ガーユス・セルウィーリウスとを待たせたであろうか。」


    —— similī senātūs cōnsultō C. Mariō et L. Valeriō cōnsulibus est permissa rēs pūblica:
    .similī : similis ~is ~e {neut. sg. abl.} consulto に照応。手段の奪格。(OLD s.v. similis 6 — "Similar (to something previously mentioned or implied in the context)") 直前の元老院決議が指されている。
    .C. Mariō : Gāius Marius (ja.wikipedia). とくに軍制改革で有名。
    .L. Valeriō : Lūcius Valerius Flaccus (en.wikipedia).
    .cōnsulibus : {pl. dat.} 複数形はMarius と Valerius。 時期を言うとき「誰々が執政官の年」と言われることがある。このとき、執政官名は記述的奪格に置かれ、annus などを修飾する。しかしここは与格で permittere の補語。
    .est permissa : permittere {pf. ind. pass. 3sg. (fem.)} per- 完全に + mittere 投げる、託す
    .rēs pūblica : 国家が託されるとは、この2人の執政官に絶対的な権限が付与されるということ(一時的に)。キケローはこの点を強調する。
    —— num ūnum diem posteā L. Sāturnīnum tribūnum plēbis et C. Servīlium praetōrem mors ac reī pūblicae poena remorāta est?
    .num : 否定の答えを予期する疑問文を導入する。
    .ūnum diem : 期間の対格。
    .posteā : 「それ以降」すなわち、元老院決議が出されてから。
    .L. Sāturnīnum : Lūcius Āpulēius Sāturnīnus (ja.wikipedia)
    .tribūnum plēbis : tribūnus plēbis {sg. acc.} 「護民官」。Saturninumと同格。
    .C. Servīlium : Gāius Servīlius Glaucia (en.wikipedia)
    .praetōrem : praetor {sg. acc.} 「法務官」。Servilium と同格。
    .mors ac . . poena : Hendiadys で「死の報い」
    .reī pūblicae : 主語的属格。「国家の(下す)罰」
    .remorāta est : remorārī {pf. ind. dep. 3sg. (fem)} 「もたつく、手間取る/(人を)引きとめる、待たせる」


    (3)「それにひきかえ、我々は20日もの間その権威の切れ味が鈍るのを許している。」


    —— at vērō nōs vīcēsimum iam diem patimur hebēscere aciem hōrum auctōritātis.
    .at verō : これら二つの接続詞はこのように冒頭でよくセットで用いられる。at は反意接続詞のなかで最も強い反意を示す。
    .nōs : {オピーミウス}-{マリウス&ワレリウス} vs. {キケロー&ヒュブリダ} = nos の対立を強調する。
    .vīcēsimum iam diem : 期間を示す対格。序数詞の使用について: v. Gildersleeve §336 "In giving definite numbers with IAM, IAM DIŪ, IAM DŪDUM, etc. the Latin often employs the ordinal where the English prefers the cardinal."
    .patimur : patī {pres. ind. dep. 1pl.}
    .hebēscere : {pres. inf. act.} < hebes ~etis, (adj.) 「鈍い」
    .aciem : aciēs ~ēī, f. 鋭い刃 cf. acēre 「酸っぱい」ācer 「鋭い」
    .horum : 元老院議員を指す。先の auctōritās hūius ōrdinis = Catil. 1.3 (4) が念頭にある。


    (4)「というのも、我々はこのような元老院決議を持っているとはいえ、まるでさやに収められるかのように、それは公文書の中に一元化されてしまっているのである。だが、その元老院決議によると、お前はただちに処刑されてしまっているはずなのだ、カティリーナ。」


    —— habēmus enim ēius modī senātūs cōnsultum
    .habēmus : 主語は二人の執政官。
    .enim : 直前で隠喩を用いて言われたことの説明を導入する。
    .ēius modī : is, ea, id {masc. sg. gen.} / modus ~ī, m. {sg. gen.} 「この種の」(OLD s.v. modus 12c) オピーミウスやマリオ―、ワレリオーに託されたような。
    —— vērum inclūsum in tabulīs, tamquam in vāgīnā reconditum
    .vērum (tamen) : いわゆる〈ただし書き〉を導入する (OLD s.v. verum 1c & verumtamen)。Maslowski は tamen を入れて読んでいる。
    .inclūsum : inclūdere {pf. part., neut. sg. acc.} consultum に照応。「統合する、組み込む」(OLD s.v. includo 8 — "incorporate, embody")
    .tabulīs : 複数で「公文書」(OLD s.v. 8)
    .tamquam : 直喩を導入する。
    .vāgīnā : 「(剣の)さや」直前で用いた剣の譬え (hebescere aciem) を引き継いで。
    .reconditum : (OLD s.v. 2b — "to put back into position, replace") ; cf. De Inventione (2.14.16) — gladium cruentum in vaginam recondidit (彼は血のついた剣をさやに収めた)。ここは (in + acc.) ではなく (+ abl.) であることから、ニュアンスの違いがはっきり読みとられる。つまり、実際に剣をさやに収める行為は (+ acc.) で言われるが、ここは元老院決議の比喩であって、銘版 (tabula) に刻み込まれたものが「国庫に納められる」のであれば、(+ abl.) で言われるのである。ちなみに、この銘版は財務官 (quaestor) が管理しており、サトゥルーヌス神殿の国庫に保管されていた。クァエストルは執政官の補佐として、主に刑事裁判を担当する。(Encyclopedia Britannica 1911 s.v. QUAESTOR 1. The Urban Quaestors)
    —— quō ex senātūs cōnsultō confestim te interfectum esse, Catilina, convēnit.
    .quō : (rel adj.) quī quae quod {neut. sg. abl.} consulto に照応。この関係詞はここでは独立文を導入する働きをしているため、訳でも切り離している (OLD s.v. quī 14, Woodcock §230.6, Bennett §251.6)
    .confestim : "festīnā lentē" のfestīnāre を土台に作られた副詞 [con-fest-im]. 副詞接尾辞 -im については『-IM副詞』にまとめた。
    .interfectum esse : interficere {pf. inf. pass.}完了不定詞は行為の達成や実現を表す。 (v. Gildersleeve §280.2a — "So OPORTUIT, behooved, is frequently followed by the Pf. Part. passive, with or without ESSE. This seems to have belonged to familiar style ; it is accordingly very common in early Latin.")
    convēnit : convenīre {pf. ind. act. 3sg.} 非人称で「(~することが)ふさわしい」(OLD s.v. 6b)「(決議文によると)お前は殺されることがふさわしい(とされている)」


    (5)「お前は生きている。しかも、放胆さを手放すためではなく、それをいや増さんとして生きているのだ。」


    —— vīvis, et vīvis nōn ad dēpōnendam, sed ad cōnfirmandam audāciam.
    .vīvis : カティリーナを脅しに脅してきて、ここで第2節 (1)~(2) で hic tamen vivit. vīvit? と言われた場面に立ち返る。
    .dēpōnendam : {grdv. fem. sg. acc.} audaciam に照応。dē-pōnere は身につけて持っているものを取って置く感じ。
    .cōnfirmandam : {grdv. fem. sg. acc.} audaciam に照応。cōn-firmāre はの接頭辞 con- は firmāre 「強固にする」の意味を強める。


    (6)「議員諸君、私は情け深くあろうと希求している。同時に、これほどの国家の危機に際しては、締りがないと思われないことを希求する者である。だが、今、私は無為の悪徳ゆえにわが身を咎めている。」


    —— cupiō, patrēs cōnscrīptī, mē esse clēmentem : 「情け深くあることを私は欲する」
    .cupiō : cupere {pres. ind. act. 1sg.} 「熱望する」 w. AcI .patrēs cōnscrīptī : v.『patres conscripti について』 .clēmentem : clēmēns ~ntis 「情け深い、思いやりのある」
    —— cupiō in tantīs reī pūblicae perīculīs nōn dissolūtum vidērī : 「これほど大きな国家の危機においてだらしないと思われないことを私は欲する」
    .cupiō : 首句反復 (anaphora) によって願望の対立が強調される。(& asyndeton). .tantīs : 「これほど大きな」 .perīculīs : 「危機」 perīculum {pl. abl.}. 動詞 parere 「産む」に由来する。 .dissolūtum : dissolvere {pf. pass. part., sg. acc.} 対格主語 me + esse を補って読む。「私がゆるゆるであると(見られないことを)」 dissolvere 「分解する」→ dissolūtus 「緩んでいる、ばらばらの」: dis- (分離の強意) + solvere「解く、分解する」. nōn . . vidērī : 「(そのように)見られないことを(欲する)」。
    —— sed iam mē ipse inertiae nēquitiaeque condemnō : 「しかし今、怠惰と悪徳の罪で私は自分を自ら断罪している」
    .sed : 逆接。「~と望んではいるが、(実際は~なので : gen.) 私は自分を責めている。」 .iam : 「(まさに)今」 . condemnō の対格目的語。.ipse : {masc. sg. nom.} 直前の me を強める働きをしている。形は condemnō の主語(=キケロー)に照応。 .inertiae : inertia ~ae, f. {sg. gen.} [iners (IN- + ARS) + -IA ]. 「(無力ゆえの)無為、怠惰」 属格はverba iudicalia (裁判行為を表す動詞)と共に用いられる属格で、「~の罪で」の意。 .nēquitiaeque : nēquitia ~ae, f. {sg. gen.} [nēquam]「不徳、悪徳」これら2つの名詞で義務(=カティリーナ誅殺)の不履行を指す。 .contemnō : condemnere {pres. ind. act. 1sg.} 「告発する、苛む」


    [5] (1) castra sunt in Italiā contrā populum Rōmānum in Etrūriae faucibus conlocāta, crēscit in diēs singulōs hostium numerus; (2) eōrum autem castrōrum imperātōrem ducemque hostium intrā moenia atque adeō in senātū vidētis intestīnam aliquam cotīdiē perniciem reī pūblicae mōlientem. (3) sī tē iam, Catilīna, comprehendī, sī interficī iusserē, crēdō, erit vērendum mihi nē nōn hoc potius omnēs bonī sērius ā mē quam quisquam crūdēlius factum esse dīcat. (4) vērum ego hoc quod iam prīdem factum esse oportuit certā dē causā nōndum addūcor ut faciam. (5) tum dēnique interficiēre, cum iam nēmō tam improbus, tam perditus, tam tuī similis invenīrī poterit quī id nōn iūre factum esse fateātur.

    (1)「対ローマ市民陣営がイタリア内に、エトルーリアの山岳路に張られている。敵の数も日に日に増えている。」


    —— castra sunt in Italiā contrā populum Rōmānum in Etrūriae faucibus conlocāta
    .castra : ~ōrum, n.pl. {pl. nom.}「陣営」 .sunt . . conlocāta : =collocāta collocāre {pf. ind. pass. 3pl. = castra = neut. pl. nom.} [con- (集合) + locāre (置く)] .faucibus : faucēs ~ium, f.pl. {abl.} 「咽頭 (http://p.tl/PX6h)」
    —— crēscit in diēs singulōs hostium numerus
    .crēscit : crēscere {pres. ind. act. 3sg. = numerus} .singulōs : singulī ~ae ~a. {m. pl. acc.}. かかる名詞を配分的な意味(~毎)にする。ここは diēs にかかって「日ごと」。


    (2)「その陣営の指揮者であり敵の統率者をあなた方は市壁内部で、しかも元老院の中で見ている。国家の内部崩壊を日々企んでいる男をである。」


    —— eōrum autem castrōrum imperātōrem ducemque hostium intrā moenia atque adeō in senatū vidētis
    .eōrum : castrōrum に照応。 .moenia : ~ium, n.pl. {pl.acc.} 「城壁、市壁」.atque adeō : atque の強調。 .vidētis : vidēre {pres. ind. act. 2pl.} 主語「あなた方」は元老院議員。
    —— intestīnam aliquam cotīdiē perniciem reī pūblicae mōlientem.
    .intestīnam : -īnus ~a ~um {fem. sg. acc.} 「内部の」perniciem に照応。 .aliquam: aliquī ~a ~um {fem. sg. acc.}「何らかの」あるいは「(強調)重大な」(OLD s.v. aliquī 4) いずれにせよ訳出に困る。 .cotīdiē : = cottīdiē 「毎日」 [quot + diēs] cf. postrīdiē 「翌日」, quotannīs 「毎年」.mōlientem : mōlīrī {pres. act. part., masc. sg. acc.}


    (3)「カティリーナ、仮に私が今すぐお前を捕えるよう、そして処刑するよう命じれば、きっと良心のある人々はそろって私の措置は遅すぎだと言うだろう。しかし、それより私は何者かが残酷に過ぎると言うのではないかと恐れなければならない。」


    —— sī tē iam, Catilīna, comprehendī, sī interficī iusserē
    .iam : iusserō の方ではなく不定詞に掛けて読む。 .comprehendī : comprehendere {pres. pass. inf.} .interficī : interficere {pres. pass. inf.} .iusserō 「命じる」この受動態の「~は~されるべし」という表現はこれまでにも何度か出てきた。v. Catil.4. (1), (4).
    —— crēdō, erit vērendum mihi nē nōn hoc potius omnēs bonī sērius ā mē quam quisquam crūdēlius factum esse dīcat.
    .crēdō : crēdere {pres. ind. act. 1sg.} この挿入句は、確かなことではないが確実性が高いことを示す働きをしている。 .verendum : verērī {gdve. sg. acc.} w. erit = 「(私には)恐れられるべきだろう」。与格 (mihi) が意味上の主語。 .nē nōn : 名詞的目的文 (final noun-close) を導入する。Catil.1.4 (1) では動詞 decernere 「(~と)決定を下す」とともに用いられたが、ここは metuere, timēre, verērī などの危惧の表現とともに用いられる (Woodcock §188)。"nē ~" で「(~が起こるのではないかと)恐れる」、"nē (. . ) nōn ~" あるいは "ut ~" で「(~が起こらないのではないかと)恐れる」の意味になる。. potius . . quam ~ : 「~よりむしろ . . 」。「〈誰かが『より残酷に為された』と言う〉よりむしろ〈善良な人々が『より遅く為された』と言う〉ことがないのではないか、と恐れる」、こう訳すと何のことなのかサッパリわからない。まず、キケローは、あることが生じることではなく、生じないことを自分は恐れるべきだと言っている。であるから、文法的には「善良な人々が『それを為すのは遅すぎた』と言わないことを恐れる」と解釈される。しかし、文脈からは「何者かが『残酷に過ぎる』と言うことを恐れる」の方に焦点が当てられていることが分かる。それゆえ、"nē (nōn) hoc (potius omnes boni serius) a me quisquam crudelius factum esse dicat" というような読み方になる。.hoc : hic {neut. sg. acc.} factum esse の対格主語。"comprehendere, interficere"を受ける。 .bonī : 体制派の人々のこと。.sērius : 副詞 sērōf 「遅くに」の比較級。 facere にかかる。 .ā mē : hoc factum esse の行為者。 .crūdēlius : crūdēliter 「残酷に」 の比較級。 .dīcat : dīcere {pres. subj. act., 3sg. = quisquam} 名詞的目的文における接続法現在は主文におけるerit verendum に照応したもの。すなわち、主文が未完了時制であれば接続法現在に置かれる。


    (4)「確かにそれはもっと早くに執り行われるべきであった。しかし、私には気に懸かることがあって、まだそれを命じるつもりはない。」


    —— vērum ego hoc quod iam prīdem factum esse oportuit certā dē causā nōndum addūcor ut faciam
    .vērum : 逆接の接続詞。.ego : adducor の主語。 .hoc : quod 節と呼応するもので、省略されても良い。faciam の対格目的語。 .quod : 接続詞。hoc と呼応して説明文(名詞節)を導入する。 .iam prīdem : 「ずっと前に」 (OLD s.v. prīdem 3) .oportuit : oportēre {pf. ind. act. 3sg. = 非人称} AcI 構文をとって「~すべきであった」。 .certā dē causā : 形容詞 certus は causa 「原因」を特定する働きをして「ある特定の原因(ゆえに)」 .nōndum : 「まだ~ない」 .addūcor : addūcere {pres. ind. pass. 1sg. = Cic.} 「説得する」(OLD s.v. addūcō 7).ut : 帰結文を導入する (v. Gildersleeve §533.2) .faciam : facere {pres. subj. act. 1sg.} 主文の未完了時制 (adducor) に照応して接続法現在に置かれている。


    (5)「最終的にお前が殺されることになるのは、その執行は不正であると言うような、厚顔で堕落したお前のような人間がもはや一人も見出されなくなった時である。」


    —— tum dēnique interficiēre
    .tum dēnique : tum 「その時」, dēnique 「ついに」 と別に捉えるよりも tum dēnique 「その時はじめて」(= tum dēmum, OLD s.v. tum 4c) のひと塊で捉える。 cum と呼応する。 .interficiēre : = interficiēris; interficere {fut. ind. pass. 2sg. = Catil.}
    —— cum iam nēmō tam improbus, tam perditus, tam tuī similis invenīrī poterit
    .cum :「誰も見つけられることが不可能となった時」= when .iam : 未来のある時点において「ようやく」、「もはや」 .nēmō : 「誰も~ない」 invenīrī の主語。 .tam : 程度を示して「これほどの」。tam . . tam . . tam . . 首句反復 (anaphora) によって特徴を追加してゆく。最後の tam は追加の働きしかしていない。 .improbus : 「probus でない」の意。ダイクによると、キケローは bonus の反意語として malus ではなく improbus を用いるらしい。 .perditus : 道徳的堕落。 .tuī : tu {2sg. pers. gen.} .similis : 「(属格に)似ている」 .invenīrī : invenīre {pres. pass. inf.} .poterit : posse {fut. ind. 3sg.}
    —— quī id nōn iūre factum esse fateātur.
    .quī : invenīrī の主語を受け、その特性を描写する。帰結文として「(そのような人間だから)それが不正に為されたと言う」(= ut is)。fateātur の主語。.nōn iūre : 「不正に」 .fateātur : fatērī {pres. subj. dep. 3sg.} 帰結文における接続法。


    [6] (1) quam diū quisquam erit quī tē dēfendere audeat, vīvēs, et vīvēs ita ut nunc vīvis, multīs meīs et firmīs praesidiīs obsessus nē commovēre tē contrā rem pūblicam possīs. (2) multōrum tē etiam oculī et aurēs nōn sentientem, sīcut adhūc fēcērunt, speculābuntur atque custōdient. (3) Etenim quid est, Catilīna, quod iam amplius exspectēs, sī neque nox tenebrīs obscūrāre coetūs nefāriōs nec prīvāta domus parietibus continēre vōcēs coniūrātiōnis tuae potest, sī inlustrantur, sī ērumpunt omnia? (4) Mūtā iam istam mentem, mihi crēde, oblīvīscere caedis atque incendiōrum. tenēris undique; (5) lūce sunt clāriōra nōbīs tua cōnsilia omnia, quae iam mēcum licet recognōscas.

    (1) 「誰かお前を擁護するような猛者がいる限り、お前は生きながらえよう。ただし、ちょうど今のようにだ。すなわち、国家に対して決起できないよう我が多数の屈強な衛兵に囲まれながらお前は暮らすことになるだろう。」


    .erit : esse {fut. ind., 3sg.} .quī : quisquam を受ける (= ut is). 特性を描写する結果文を導入する (G. 631.2)。 .audeat : audēre {pres. subj. act., 3sg. = quī} 先行詞が不定代名詞 (quisquam) であるゆえの接続法。 .vīvēs {fut. ind. act., 2sg. = Catil.} . : 副詞的目的文を導入する。動詞は主文が未完了時制 (vives obsessus) なので接続法現在 (possis) に置かれている。 .commovēre tē : commovēre は使役的な意味を持つが、ここは再帰的に「立ち上がる、奮起する」 (OLD commoveō 8)。


    (2) 「そのうえ、お前はものともしないだろうが、万人の耳目がお前を監視し続けることになろう。」


    —— multōrum tē etiam oculī et aurēs nōn sentientem, sīcut adhūc fēcērunt, speculābuntur atque custōdient.
    .multōrum : {masc. pl. gen.} .etiam : 「さらに」 .oculī : oculus ~ī, m. {pl. nom.} .aurēs : auris ~is, f. {pl. nom.} .sentientem : sentīre {pres. act. part., masc. sg. acc = tē} .sīcut : 「ちょうど~のように」 .fēcērunt : facere {pf. ind. act., 3pl. = oculī et aurēs} .speculābuntur : speculārī {fut. ind. dep., 3pl. = oculī &c.} .custōdient : custōdīre {fut. ind. act., 3pl. = oculī &c.}
    clausula (韻律終結部=文末)が【at-que cus-| tō-di-ent : ˉ˘ˉ | ˉ˘ˉ】=【cretic ×2】に置かれている。


    (3) 「現に、カティリーナ、夜の帳が背徳的な会合を覆い隠すこともできず、プライベートな家屋の壁が謀議の声を封じ込めることもできず、それらはことごとく白日のもとに晒され、暴かれているのである。もはやお前には何の希望もないではないか。」


    —— Etenim quid est, Catilina, quod iam amplius exspectes,
    .etenim :「実際」。以下ではこの直前で言われたことの裏付けが目されており、より現実味を帯びた内容が導入される。直前 Catil.1.6 (1-2) では、「お前は生き続けても不自由な暮らしを強いられることになる」というキケローの見通しが述べられた。そして、この見通しの確かさを示すために、「実際おまえの陰謀はばればれではないか」と言われる。ただ、ここでは修辞疑問の形が取られていて分かりにくい (OLD s.v. etenim b)。si 節で言われることがその実証として挙げられるものであり、修辞疑問の部分はその実証的仮定に基づいた帰結としての主張である。このように etenim はsi との相性がとても良く、キケロー全著作のうち « etenim si . . » で始まるセンテンスは70例を下らない。 « etenim . . si . . » を合わせるとおそらく 100 を超えるだろうと思われる。 .quid : OLD quis 3 (neut. sg. as pred., in identifying the meaning of a term, the nature of a thing, etc.) →「お前がさらに期待できるものとは、どのようなものか」 .quod : quid est の主語を導入する (OLD s.v. quod 7) 接続法を従えているが、不定代名詞を強調する働きがある。


    (4) 「その了見をただちに手放しなさい。これは命令だ。殺しと放火の計画を遺却せよ。」


    —— Mūtā iam istam mentem, mihi crēde, oblīvīscere caedis atque incendiōrum.
    .mūtā : mūtāre (pres. imp., 2sg. = Catil.) 「交換する」 (OLD mūtō 13 — To change (one’s own or another’s opinion, attitude, etc.)。 .iam : 「直ちに」 .istam : この指示形容詞は話し相手を指す。(OLD iste A1 — (in direct address) That which you have, use, feel, see, etc.) .mentem : (OLD mens 7 — Purpose, design, intention) .crēde : 「私を信じよ」→「私の言う通りにせよ」 .oblīvīscere : oblīvīscī (pres. imp. dep. 2sg.) .caedis : caedēs ~is, f. (sg. gen.) 記憶・忘却を表す動詞と共に用いられる属格。「殺しと放火の記憶を消去せよ。」


    (5) 「お前は完全に包囲されている。お前の企みの全貌は、我々には日の光よりも明らかである。それを今から私と一緒に確かめてみてくれ。」


    —— tenēris undique;
    .tenēris : tenēre {pres. ind. pass., 2sg.} .undique : [unde (ubī, -de), -que (あらゆる)] cf. inde (ibī, -de), quisque 「あらゆる方面から」
    —— lūce sunt clāriōra nōbīs tua cōnsilia omnia,
    .lūce : lux ~cis, f. {sg. abl.} 比較級 (clārior) と用いられる奪格。.clāriōra : clārus {compar., neut. pl. nom. = cōnsilia} Catil.1.1 (5) patēre tua cōnsilia が言い換えられて繰り返される。「光より明らかである」慣用句として。
    —— quae iam mēcum licet recognōscas.
    .quae : quis {neut. pl. acc. = cōnsilia} 独立文を導入する (cf. Catil.1.4 (4)) .licet : 非人称で「(~することを)許す、認める」丁寧な要求表現。 subj. と共に。 .recognōscās : recognōscere {pres. subj. act., 2sg.} 「点検する」


    [7] (1) meministīne mē ante diem XII Kalendās Novembrīs dīcere in senātū fore in armīs certō diē, quī diēs futūrus esset ante diem VI Kal. Novembrīs, C. Manlium, audāciae satellitem atque administrum tuae? (2) num mē fefellit, Catilīna, nōn modo rēs tanta tam atrōx tamque incrēdibilis, vērum, id quod multō magis est admīrandum, diēs? (3) dīxī ego idem in senātū caedem tē optimātium contulisse in ante diem V Kalendās Novembrīs, tum cum multī principēs cīvitātis Rōmā nōn tam suī cōnservandī quam tuōrum cōnsiliōrum reprimendōrum causā prōfūgērunt. (4) num īnfitiārī potēs tē illō ipsō diē meīs praesidiīs, meā dīligentiā circumclūsum commovēre tē contrā rem pūblicam nōn potuisse, cum tū discessū cēterōrum nostrā tamen quī remānsissēmus caede contentum tē esse dīcēbās?

    (1)「覚えているか、10月21日に私が元老院で言ったことを。お前の無茶な企ての仲間であり手下でもあるマンリウスが武装蜂起する日が決定されていたのであり、その日は10月27日のはずであった。」


    【構文】
    meministīne [AcI] ?
     [AcI] = me dicere in senatu {AcI}
     {AcI} = fore in armis a.d. VI Kal. Nov. Manlium
    →[私が元老院で {マンリウスが10月21日に戦闘態勢に入る} と言ったこと] を覚えているか。
    —— meministīne mē ante diem XII Kalendās Novembrīs dīcere in senātū
    .dīcere : dīxisse でないのは、.ante diem XII Kalendās Novembrīs : (= ante diem duodecimum Kal. Nov.) November (-bris) ~bris ~bre {f. pl. acc. = Novembrēs} は 11月。Kalendae ~ārum, f. pl. {acc.} はその月の第1日で、ante diem XII (duodecimum) は「その日から遡ること12日」。10月 (Octōber) は前45年にユリウス暦に変わると30日の小の月に格下げされたが、この時はまだ大の月で31日までだったから、(31+1)−(12−1)=21 と、このように算出する (10月21日)。最初の +1 はKalendae の分を足したもので、後の − 1 はKalendae そのものを勘定に入れるためのもの。同様に、もし基準日が Kalendae ではなく Īdūs (第13日) だとすれば、たとえば "a.d. VII Id. Nov." は 13−(7−1)=7 (11月7日) と算出する。
    —— fore in armīs certō diē, quī diēs futūrus esset ante diem VI Kal. Novembrīs, C. Manlium, audāciae satellitem atque administrum tuae?
    .fore = futūrus esse .in armīs : 「兵役についた(状態になる)」 (OLD s.v. arma 5e) → 「戦闘態勢に入る」 .ante diem VI Kal. Novembrīs : (31+1)−(6−1)=27 (11月27日) .administrum : administer ~trī, m. {sg. acc.}


    (2) 「カティリーナよ、これほどおぞましく耳を疑う事柄に関して、さらに甚だ驚嘆すべきことに、その日程に関して私は間違えているだろうか。」


    .fefellit : fallere {pf. ind. act., 3sg. = S} 「騙す、欺く」 (OLD fallō 2b → (impers.) me, etc., ~LIT. I am wrong) 「Sは私を欺いているか」→ 「Sについて私は間違っているか」 .tanta : tantus {fem. sg. nom. = res} 「これほど凄い」。 res ~ は 直前のマンリウスのローマ進軍計画のこと。.vērum : non modo . . verum ~ 「. . のみならず ~も」 .id quod : 挿入節を導入する。(OLD s.v. is 9)


    (3) 「また、私は10月28日のお前の議員殺害計画についても元老院で報告した。すると、多くの有力市民がお前の計画を潰すためにローマから避難したが、それは自らの保身のためではなかったのである。」


    【構文】 dixi in senatu [AcI], tum cum [X]
     [AcI] = [caedem te optimatium contulisse]
     [X] = [principes Roma non tam {A} quam {B} causa profugerunt]
      {A} = {sui conservandi}
      {B} = {tuorum consiliorum reprimendorum}
    .idem : īdem, eadem, idem {neut. sg. acc.} = advl. 「同様に」 (OLD īdem 8 — introd. a sb. or adj. as a further attribute of the same subj., transl. 'at the same time', 'also') 直前 (1) の dicere in senatu . . の繰り返しを示す。中性対格は続く AcI 構文を受けたもの。 .optimātium : optimātēs (~ium m. pl.) 「要人」 .contulisse : conferre {pf. inf. act.} .ante diem V Kal. Nov. : 10月28日 = (31+1)−(5−1). V = quantum .tum cum : 'at the time when' .Rōmā : 分離の奪格 .non tam . . quam ~ : 「. . というよりむしろ ~」 .causā : as prep. (w, gen.) 「~ゆえに」.suī : 3人称の再帰代名詞 {sg. gen.} .conservandī : cōnservāre {gdve. masc. sg. gen.} sui conservandi (gdve.) は se conservandi (gd.) の代用で、動名詞の目的語 se が動名詞の格に一致して sui (gen.) となり、動形容詞がさらに sui に照応した形。 「自らを保護するという理由によって」 .reprimendōrum : reprimere {gdve., neut. pl. gen. = consiliorum} = tua consilia reprimendi "~ōrum ~ōrum ~ōrum" の連続はかなり目立つが、あえてこの形が取られているなら、そこに強調が読み取られるだろう。


    (4) 「その日には、私の用心によって送り込まれた私兵に遮られてお前は反国家の謀反を起こせなかったはずであるが、このことを否定することが出来るか。そこで、他の者は姿をくらましてしまったが残った我々の殺害で良しとするというようなことをお前は言っていたであろう。」


    【構文】 num infitiari potes [A{B}], cum tu [AcI] dicebas?
     [A] = [te {B} non potuisse]
      {B} = {commovere te contra rem publicam}
     [AcI] = [nosta caede contemtum te esse]
    .infitiari : 「否認する」 .illo ipso die = V Kal. Nov. (31+1)−(5-1)=28 →10月28日 .meīs, meā : この1人称所有形容詞の繰り返しによって、執政官としてではなく、キケローが個人的に為したことが強調される。 .circumclūsm : cf. Catil.1.6 (1) — « multis meis et firmis praesidiis obsessus ne commovere te contra rem publicam possis » ここは obsidēre ではなく circumclūdereで言われるが、意味は大体同じ。 .potuisse : posse {pf. inf.} .cum : illo ipso die を受け、未完了過去 (dīcēbās) で言われる。 .discessū : discssus (~ūs, m.) 「出発」 {sg. abl.} 付帯状況の奪格。「他の人々の出発という状況で、それでも」 tamen によって譲歩的な意味が確かめられる。 .cēterōrum : 主語的属格。「他の人々の出発=他の人々は出発した」 .nostrā : {fem. abl. = caede} = nostri .remānsissēmus : remanēre {plpf. subj. act., 1pl.} 接続法過去完了は、qui が間接話法の中の従属文にあたるので、従属文の動詞は接続法に置かれる。過去完了は dīcēbās の未完了過去(~していた;=副時称)に照応して、それ以前に行為が完了していたことを表す。


    [8] (1) quid? cum tē Praeneste Kalendīs ipsīs Novembribus occupātūrum nocturnō impetū esse confīderēs, sēnsistīn illam colōniam meō iussū meīs praesidiīs, custōdiīs, vigiliīs esse mūnītam? (2) nihil agis, nihil mōlīris, nihil cōgitās quod nōn ego nōn modo audiam sed etiam videam plānēque sentiam. (3) Recognōsce mēcum tandem noctem illam superiōrem; iam intellegēs multō mē vigilāre ācrius ad salūtem quam tē ad perniciem reī pūblicae. (4) dīcō tē priōre nocte vēnisse inter falcāriōs – nōn agam obscūrē – in M. Laecae domum; (5) convēnisse eōdem complūrīs eiusdem āmentiae scelerisque sociōs. num negāre audēs? quid tacēs? (6) convincam, sī negās. videō enim esse hīc in senātū quōsdam quī tēcum ūnā fuērunt.

    (1) 「ところでどうなのだ、お前は11月1日の夜襲でプラエネステを占拠する計画を固めていたが、その時お前は、私の命令によって、我が衛兵の夜を徹しての見張りによって、この植民市が護り固められていたことに気付いていなかったのか。」


    .quid? : 修辞疑問文を導入するとともに、新たな論点の目印となる。その使用例はキケローだけでも 500例を超える。スペイン語の疑問文 ¿ . . ? における最初の逆疑問符に相当する。 .cum te . . : Maslovski, Dyck は cum tu te . . と読む。 tu te は屈折語尾のみ異なる形で同じ語が繰り返されており、このような修辞技法を polyptoton と呼ぶ。 .Praeneste : ファエスラエとともにスッラの植民市のひとつ。現在のパレストリーナ (Palestrina)。丘陵地であり、目と鼻の先にローマがあることから、軍事的な要所であった。 .Kalendīs ipsīs Novembribus : 11月1日。時の奪格。これまで 1.7 (1) a.d. XII Kal. Nov. → a.d. VI Kal. Nov. → a.d. V Kal. Nov. ときて、ここで Kalendae そのもの (ipse) に到達していることから、この ipse は climax を表すものとして読むことができる。 .impetū : impetus (~ūs, m. {sg. gen.}) 「襲撃」 [in- + petere] .confīderes : confīdere {impf. subj. act. 2sg.} 「確信する」 [fīdus (誠実な)]. 接続法は、接続詞 cum がいわゆる歴史叙述 (narrative) の従属文を導入しているためのものである。時制は、主文の動詞 sensistī の歴史的完了 (副時称) と同時なので未完了過去に置かれている。 "esse confīderēs" は double cretic clausula (タンタタン・タンタタン)。 .sēnsistīn : sentīre {pf. ind. act. 2sg.} 動詞 sentīre の使用はこれで3度目。 cf. Catil.1.1 (5), 1.6 (2) .illam colōniam : 植民市プラエネステのこと。 .meō, meīs : 直前の "meīs praesidiīs, meā dīligentiā circumclūsum"


    (2) 「お前は私が耳にもせず目にもしないことを、そして明瞭に感じとることのない事を、何も為すことも、企てることも、熟考すらもすることがないのである。」


    .nihil . . , nihil . . , nihil : anaphora (首句反復) による強調。動詞の並びからは climax (漸層法) が読みとられる。 .mōlīris : mōlīrī {pres. ind. dep. 2sg.} .quod : 3動詞の目的語となる名詞節を導入。nihil を {neut. sg. acc.} として受ける形。 .audiam, videam, sentiam : {pres. subj. act. 1sg.} 接続法は不定の対象を描写するためのもの。cf. 1.6 (1) audeat, ibid. (3) exspectēs. .plānēque : [plānus (=flat) + -ē] 「明瞭に」。


    (3) 「さあ、一昨夜のことを一緒に確かめようではないか。そうすればすぐに、私がお前の国家転覆よりもはるかに鋭く国家の安泰のために目を光らせているということを理解するだろう。」


    —— Recognōsce mēcum tandem noctem illam superiōrem;
    .recognōsce : {imp. act. 2sg.} Catil.1.6 (5) においてlicet recognōscās と改まった言い方がされていたが、ここは tandem とともに「さあ、思い出してみよ」と命令になっている。 .noctem illam superiōrem : 一昨日の夜。【6−[夜II]−7−[夜I]−8】(今日は11月8日)。最も近い夜が [夜I] で、superior は「前の」であるから [夜II] すなわち一昨日の夜、11月6日の夜のことを指す。illa は既出のものを受けるもの → Catil. 1.1 (6) quid proximā, quid superiōre nocte ēgeris 「昨夜と一昨夜お前が何をしていたか」。「思い出せ」と言われているのは noctem illam superiorem だけであるが、直後で priore nocte = [夜I] と言われるので混乱する。
    —— iam intellegēs multō mē vigilāre ācrius ad salūtem quam tē ad perniciem reī pūblicae.
    .iam : 未来時制とともに用いられる (L-S s.v. I.C.2.) 「すぐに」 .intellegēs : {fut. ind. act. 2sg.} .multō : 比較級の程度を強める働きをしている。.vigilāre : 「警戒する」 .ācrius : ācriter {compar.} 「鋭く」(cf. OLD acer 3) .ad salūtem: vigilare の目的。 .ad perniciem : 省かれている動詞 vigilare の目的。


    (4) 「お前は前の晩に鎌造り職人の住む界隈に現れた。はっきり言ってしまえば、マルクス・ラエカの家に行ったのである。」


    .dīcō : AcI構文をとって「(AcI)と断言する」.priōre : posterior との対で捉えて「先の夜」 .falcāriōs : 鎌造り職人。接尾辞 -ārius は「~を製造する人」。 .agam : agere {pres. subj. act. 1sg.} 自動詞として「振舞う」 (OLD s.v. ago 36)、あるいは他動詞として rem を補って読み「(それを)提示する」 .obscūrē : 密かに、こそこそと


    (5) 「そして、そこに大勢の同じ狂気的悪事の仲間が寄り集った。まさか否定するのかお前は。どうして黙っている。」


    .convēnisse : dīcō (tē) を補って読む。主語は tē とするか sociōs とするか、どちらか迷う。一応 sociōs として訳した .eōdem : 「そこに」=ラエカ宅 .complūrīs : complūrēs {masc. pl. acc.} sociōs にかかる。 .eiusdem : īdem, eadem, idem {neut. sg. gen.} amentiae scelerisque にかかる。 .āmentiae : [ab- + mens (ment-) + -ia] で「正気を失った、気が狂った」 .sceleris : scelus ~eris, n. {sg. gen.} ここでは「犯罪(行為)」 amentiae scelerisque で hendiadys を形成して「狂気的な犯罪」


    (6) 「否定するなら証拠を出してやろう。お前と一緒にいた者がこの議事堂内に複数名確認されるのである。」


    .convincam : convincere {subj. pres. 1sg.} 「反駁する」.hīc : 「ここに」 in senatu で言い直される。 .quosdam : 名前が伏せられているが、サッルスティウス『カティリーナ戦記』17に名前が挙げられている → (訳)Tomokazu Hanahusa さんの【世界の古典つまみ食い】 http://p.tl/qj_u .ūnā: 「(cum : ~と)一緒に」 .fuērunt : esse {perf. ind. 3pl. = quī}


    [9] (1) Ō dī immortālēs! ubinam gentium sumus? quam rem pūblicam habēmus? in quā urbe vīvimus? (2) hīc, hīc sunt in nostrō numerō, patrēs cōnscrīptī, in hōc orbis terrae sānctissimō gravissimōque cōnsiliō, quī dē nostrō omnium interitū, quī dē huius urbis atque adeō dē orbis terrārum exitiō cōgitent. (3) hōs ego videō cōnsul et dē rē pūblicā sententiam rogō, et quōs ferrō trucīdārī oportēbat, eōs nōndum vōce volnerō! (4) fuistī igitur apud Laecam illā nocte, Catilīna, distribuistī partīs Italiae, statuistī quō quemque proficīscī placēret, dēlēgistī quōs Rōmae relinquerēs, quōs tēcum ēdūcerēs, discrīpsistī urbis partīs ad incendia, confirmāstī tē ipsum iam esse exitūrum, dīxistī paulum tibi esse etiam nunc morae, quod ego vīverem. (5) repertī sunt duo equitēs Rōmānī quī tē istā cūrā līberārent et sē illā ipsā nocte paulō ante lūcem mē in meō lectō interfectūrōs esse pollicērentur.

    (1) 「おお、不死なる神々よ。我々は一体どこにいるのです。いかなる国家に居住しているのか。いかなる都市で活動しているのか。」


    .ubinam : 後倚辞 -nam は疑問を強める働きをする。 (OLD s.v. nam 7b, cf. quisnam) .gentium : gēns ~ntis, f. {pl. gen.} 副詞 (ubi) にかかる部分的属格 (OLD s.v. gens 4)。.habēmus : habēre {pres. ind. act. 1pl.} = habitāre 「住まう」 (OLD s.v. habeo 9) とも読めるかもしれないが、ここは無難に解釈する。


    (2) 「まさにこの場所に、我々の中に、議員諸君、世界の最中枢のこの重責ある議会の中に、我々全員の抹殺と、この都市および全世界の破滅を目論む者どもがいるのである。」


    hīc, hīc : 文頭での副詞の反復 (geminatio). Catil.1.3 では動詞の反復が見られた (fuit, fuit)。(cf. illīc < -ei-ce, hūc, illūc < -oi-ce) / sunt : 主語として直前 1.8 (5) の complūrēs eiusdem āmentiae scelerisque sociī が理解される。 / in nostro numero : Maslowski では nostro in numero. (OLD s.v. numerus 10b) / orbis : orbis ~is, m. {sg. gen.} 円形のもの(車輪、球、眼球)、あるいはリング状のもの(輪)。~ terrae 世界 (OLD s.v. orbis 12) =海に取り囲まれた大地。/ consilio : =元老院。


    (3) 「私は執政官として連中を目視して、国事について(諸君に)意見を求めており、それにまだ言語によって、剣によって惨殺されるべき者どもを斬り付けてはいないのである。」


    hōs : = qui . . cogitent / ego : 主語が明示され hos と併置されることで、両者の対立が強調されている。 / cōnsul : ego と同格「執政官たる私」 / rē pūblica : 国事、国政 (OLD s.v. rēs pūblica 1) / rogō : 「(元老院議員に)意見を求める」(OLD s.v. rogo 4) / et : 憤慨的な感嘆文を導く (OLD s.v. et 15) / quōs : eōs に照応。trucidari の対格主語。 / ferrō : 「鉄」→「剣」(OLD s.v. ferrum 4) / trucīdārī : 「屠(ほふ)る」→「(残虐に)殺す」 / oportēbat : 「(inf.)すべきであった」 / vōce : 「声」/ vulnerō : 「傷を負わせる」→「苦しめる」 (OLD s.v. vulnerō 2)


    (4) 「ともあれ、昨夜お前はラエカの所にいたのである、カティリーナ、お前はイタリアの諸地域を割り振り、各々どこに発つのが相応しいか取り決め、ローマに残す者と、一緒に連れてゆく者とを選出し、放火のために街区を振り分け、お前自身もすぐに出て行くことを請け合い、私が生きているからまだ少し時間が掛かるのだとお前は言ったのである。」


    fuistī : 以下計7回繰り返される完了2人称単数動詞の最初の1つ。以下、接辞省略 (asyndeton) によって次々とカティリーナの行状が確認 (recognoscere) される。 / igitur : 「それでは」本題に入る合図。本題に立ち返って (OLD igitur 4)。あるいは、カティリーナが黙っていること (quid taces?) を受けて (OLD igitur 3)。 / apud : cf. 1.8 (3) "in M. Laecae domum" / illā nocte : cf. 1.8. (3) priōre nocte / distribuistī : 「~を分配する」/ statuistī : 「制定する、指定する」(OLD statuo 9b) / quō : 疑問詞で「どこに」 / proficīscī : 「出発する」 / placēret : placēre {pres. subj. act. 3sg.} 間接疑問文中における接続法。/ dēlēgistī : 「選び出す」 dēligere {pf. ind. act., 2sg.} / quōs : 不定関係代名詞。delegisti の直接目的語となる名詞節を導く。規定されるのが不特定のものであるため動詞は接続法に置かれる。/ discrīpsistī : ほとんど distribuistī と同じ意味になる。「市街の区域を振り分ける」/ ad incendia : 目的。 / confirmāstī : = confirmāvistī 「断言する」 / esse exitūrum : 未来不定詞 / paulum . . morae : morae = part. gen. 訳す場合は「少しの時間」となる。 / quod : 理由文。間接話法中における理由文で、「遅れると言った」理由ではなく、「遅れる」理由が言われる。○「~だから遅れる、と言った」 ×「~だから、遅れると言った。」間接話法中の従属文扱いなので接続法 (viverem) に置かれる。


    (5)「このような心配からお前を解放する2人のローマ騎士が探し出され、彼らは夜明けの少し前に私を寝床で殺すことを確約したのである。」


    repertī sunt : reperīrī/~rīre 「発見する」 / duo equites Rōmānī : 2人のローマ騎士 (C. Cornelius & L. Vargunteius). / quī : 目的文 (= ut is) / līberārent : līberāre {impf. subj. act. 3pl. = equitēs} 「(お前を te、心配から)解放する」 目的文中における接続法。 / et : 補足説明を導入 (OLD s.v. et 11) / paulō ante : 「少し前」 (OLD s.v. paul(l)ō 2b) / (ante) lūcem : 日の出から日の入りのことを指す語だが (OLD lux 4)、ここでは「夜明け」の意味か。 / pollicērentur : pollicērī/~cēre {impf. subj. act. 3pl. = equitēs} 「約束する」


    [10] (1) haec ego omnia vixdum etiam coetū vestrō dīmissō comperī; (2) domum meam maiōribus praesidiīs mūnīvī atque firmāvī, exclūsī eōs quōs tū ad mē salūtātum māne mīserās, cum illī ipsī vēnissent quōs ego iam multīs ac summīs virīs ad mē id temporis ventūrōs esse praedīxeram. (3) Quae cum ita sint, Catilīna, perge quō coepistī: ēgredere aliquandō ex urbe; patent portae; proficīscere. (4) nimium diū tē imperātōrem tua illa Manliāna castra dēsīderant. (5) Ēdūc tēcum etiam omnīs tuōs, sī minus, quam plūrimōs; purgā urbem. (6) Magnō mē metū līberāveris, modo inter mē atque tē mūrus intersit. (7) nōbīscum versārī iam diūtius nōn potes; nōn feram, nōn patiar, nōn sinam.

    (1) 「これらのことを私はすべて、お前らが散会するのとほぼ同時に掴んだ。」


    vixdum : [vix (ほとんど~ない) + dum (まだ)] / etiam : 「まだ」 / coetū vestrō : coetus ~ūs, m. [coīre + -tus] 「集まり」 {sg. abl.}. abl. absol. における意味上の主語 / dīmissō : dīmittere [dis- + mittere] {ppp., m. sg. abl.} 「解散する」/ comperī : comperīrī / ~rīre [cf. parere] 「発見する」


    (2) 「私は守衛を増強して自宅を守り固め、連中を締め出したのであった、お前が朝早く私の所へ挨拶しに来させた奴等をな。来たのはまさに、私のところにその時刻にやって来るだろうと、私が予め多くの最有力者らに伝えていた連中であった。」


    mūnīvī : [< moenia (城壁)] mūrīre / māne : adv. 「早朝に」(< abl. of mānēs ~ium, m. pl. (死者の霊 ... 善い霊として), cf. larvae (悪霊), remulēs (亡霊) ; cf. mānus [= bonus]) / mūnīvī atque firmāvī, exclūsī : この動詞の連続はインパクトが強い。/ salūtātum : 第1スピーヌム (supine). 第1スピーヌムはvenīre や īre など移動を表す動詞と用いられ目的を表す。ここは mittere. / mīserās : mittere {plpf. ind. act. 2sg.} / cum . . vēnissent : venīre {plpf. subj. act. 3pl.} “Narrative use of cum” (Woodcock §235). 「歴史的 cum」 とも呼ばれる (国原・松平 §804)。時制は sequence of tenses に従い、従属文の出来ごとが主文の歴史的完了 (exclūsī) の直前であるため、未完了過去ではなく過去完了 (vēnissent) に置かれる。/ quōs . . praedīxeram : = (illī ipsī), (quōs tū ad mē . . mīserās) ; praedīcere {plpf. ind. act. 1sg.} 予言する、予測を伝える、の謂。先の関係文に置けると同じく直説法で語られる。 / id temporis : 「その時刻に」(OLD s.v. tempus 2 d) / ventūrōs esse : 未来不定詞。


    (3) 「然れば、カティリーナ、お前が手を付けたことに邁進せよ。さあ、街から出て行け。門は開いている。出発せよ。」


    quae cum ita sint : 成句的表現。quī {neut pl. nom.} = et id ; cum は理由文を導入する。「それらがそのようであるのだから」 / perge : pergere {pres. imp. act. 2sg.} [per- + agere] 続行する / quō 関係副詞「~へ」 / coepistī : coepere 通例完了時制で用いられる。現在完了的に「(すでに)始めている、手を付けている」の意 / ēgredere : ēgredī {pres. imp. dep. 2sg.} 受動態の現在2人称単数の命令形は不定詞と同形になる。[ex-, gradī] 「出て行く」 / aliquandō : [alius, quandō] 「ある時(<過去>かつて/<未来>いつか」。ali- によって時が不特定であることが示される。この命令文における aliquando は tandem 同様、奨励を表現する (L-S s.v. aliquando II. E., OLD aliquando 5). 「いつとは言わず(今すぐにでも)」という感じではないかと思われる。 / patent : patēre {pres. ind. act. 3pl. = portae} 「開いている」/ proficīscere : proficīscī {pres. imp. dep. 2sg.}「出発する」 cf. Catil. 1.9 (4).


    (4) 「かなり長い間、お前のマンリウス陣営はお前の指揮を待ち焦がれているのだ。」


    nimium : (adv.) [< {neut. sg. acc.} of nimius -a -um < nimis (adv.)] nimis と同じく「過度に」の意。diūを修飾する。 / imperātōrem : 「指揮者」 cf. 1.5. (2) eorum autem castrorum imperatorem ducemque hostium (その陣営の指揮者であり敵の統率者) / Manliāna castra : cf. 1.5 (1) castra sunt in Italia contra populum Romanum in Etruriae faucibus conlocata (エトルーリアの山岳路に張られている対ローマ市民陣営)。 / dēsīderant : dēsīderāre {pres. ind. act. 3pl.} 「熱望する、待ち焦がれる」


    (5) 「さらに、お前の配下の者を皆、せめて可能な限り大量に引き連れて行きたまえ。そうして都を清めるがよい。」


    ēdūc : dūcere {imperat. pres. act. 2sg.} dūcere, dīcere, facere, ferre の4動詞の命令法現在(2人称単数)はdūc, dīc, fac, fer となる。/ etiam : 命令の追加で「さらに」 / omnīs : = omnēs (m. pl. acc.) / sī minus : minus は比較級の副詞で「より少なく」の意。ここでは軽い否定辞として「完全には~ない、…ほど~ない」。si minus は英語の if not に相当する。「もし~でなければ」(OLD s.v. minus 4b) / quam : 関係副詞。最上級形容詞 (plūrimus) と posse (省略可) を伴って「可能な限り(沢山)」(OLD s.v. quam 7b). / plūrimōs : superl. of plūs (-ris, n.) / purgā : purgāre {pres. imperat. act. 2sg.} 「清める」カティリーナとその仲間をキケローは「国家の汚物 (sentīna reī pūblicae)」と呼ぶ (1.12)。


    (6) 「市壁が私とお前との間に介在することによってのみ、お前は私をこの恐怖から解放しよう。」


    magnō metū : 分離の奪格 / līberāveris : līberāre {pf. subj. act. 2sg.}。この主文における完了の接続法は命令を表す (Woodcock, §112) と読まれたものかもしれないが、写本によっては līberābis {fut. ind. act. 2sg.} となっている。ここをそのような命令として読むのはかなり難しく、主要な校訂本でもほとんど līberābis とされていることから、こちらで読むことにする。 / modo : = dummodo「(以下のような)条件のもとでのみ」。この「のみ」が modoの働きであるが、ここでは modo が単独で使用されている。接続法を従える。 (Woodcock, §220) / mūrus : ~ī, m. {sg. nom.} 市壁 / intersit : {subj. pres., 3sg. = mūrus}


    (7) 「お前が我々と共に過ごし続けることなど、もはやありえないのである。腹に収め、耐え忍び、差し措くことなど出来るものか。」


    versārī : {pres. inf. mid.} デポネントではなく反射態(中動態)動詞。「(自分を)回転させる」→「動き回る、活動する」/ iam diūtius : / nōn . . , nōn . . , nōn : anaphora (tricolon) / feram : ferre {pres. subj. act. 1sg.} 意味幅の広い動詞であるが、「(頑張って)持ちこたえる」という意味から「我慢する、許す」といった意味になる。ここはferam → patiar → sinam という配置を考慮して「許す」と読む (OLD s.v. fero 21)。接続法はいわゆる potential subjunctive で、ここのように話者の確固たる見解を述べるときにも用いられる (Woodcock, §118-). 否定は non. / sinam : sinere {pres. subj. act. 1sg.} 「(人に)~させておく」


    [11] (1) Magna dīs immortālibus habenda est atque huic ipsī Iovī Statōrī, antīquissimō custōdī huius urbis, grātia, quod hanc tam taetram, tam horribilem tamque īnfestam reī pūblicae pestem totiēns iam effūgimus. (2) nōn est saepius in ūnō homine summa salūs perīclitanda reī pūblicae. (3) quam diū mihi cōnsulī dēsīgnātō, Catilīna, īnsidiātus es, nōn pūblicō mē praesidiō, sed prīvātā dīligentiā dēfendī. (4) Cum proximīs comitiīs cōnsulāribus mē cōnsulem in campō et competītōrēs tuōs interficere voluistī, compressī cōnātūs tuōs nefāriōs amīcōrum praesidiō et cōpiīs nullō tumultū pūblicē concitātō; (5) dēnique, quotiēnscumque mē petīstī, per mē tibi obstitī, quamquam vidēbam perniciem meam cum magnā calamitāte reī pūblicae esse coniunctam.

    (1) 「我々は不死なる神々に、就中このユッピテル・スタトル神に、この都の最古の庇護者に対して大いなる感謝を捧げねばならない。というのも、これほど忌わしく、身の毛のよだつ、命に関わる国家の病巣を我々は幾度も回避してきたのであるのだから。」


    magna : magnus {fem. sg. nom. = grātia ... Hyperbaton (転置法)} / dīs immortālibus : {pl. dat.} deus の曲用→ http://goo.gl/qSy4ts / atque : より具体的なものを導入する (OLD s.v. atque 1) / huic ipsī : 「まさにこの」。この議会が開かれているユーピテル・スタトル神殿を指す / Iovī : Iūpiter, iovis, m. ユーピテル神 / Statōrī : Stator ~ōris, m. 支える者 (< stāre) / antīquissimō : antīquus {superl., masc. sg. dat. = custōdī} / custōdī : custōs -ōdis, m. {sg. dat.} 見張番 / grātia : 形容詞 magna の被修飾語 (Hyperbaton転置法)。/ tam . . tam . . tamque : "tricolon crescendo" tam による anaphora (首句反復) で強調される。/ taetram : taeter, tra, trum {fem. sg. acc = pestem} 忌わしい


    (2) 「国家の平穏全般が一人の者において試練を受けることなど、そうそうあってはならない。」


    (non) saepius : (否定)+「とても頻繁に」→「稀に」(= litotes) / ūnō homine : = Cicero / (est . . ) perīclitanda : perīclitārī {gdve., fem. sg. nom. = salūs} 試みる、危険にさらす (OLD s.v. periclitor 2)


    (3) 「次期執政官であった私を、カティリーナ、お前が付け狙っていた間、私は国家の護衛に頼らず私的に警戒することで我が身を守ったのである。」


    quam diū : 関係副詞 "as long as" (~する間、~する限り) / cōnsulī dēsignātō : 7月の執政官選挙で時期執政官に選ばれた2名は、1月に就任するまでの間 "consules designati" と呼ばれる。前64年に行われた執政官選挙にはカティリーナ、キケロー、ヒュブリダ、およびその他数名が立候補していたが、カティリーナは敗れる。"consul-designate" が何らかの理由で翌年就任できなくなった場合、別の候補が就任することになる。カティリーナはそれを狙っていた。/ īnsidiātus es : īnsidiārī {pf. ind. pass. 2sg.} 「待ち伏せる、(dat.)に陰謀をめぐらす」 / mē dēfendī : 「自分の身を守る」dēfendere {pf. ind. act. 1sg.} mē が形容詞と名詞の間(第二の位置 "Wackernagel position")に置かれている。/ nōn pūblicō . . sed prīvātā : 公私の対立を強調。ここでも公的に対処していないことが強調される。 / dīligentia : (cf. Catil. 1.7)


    (4) 「先の執政官選出の民会では、執政官たる私とお前の対立候補者らをカンプスで殺害しようとしていたが、そこで私は友人に護衛してもらって部隊を配備し、何ら公共に擾乱を引き起こすことなく、お前の不敬な企てを打ち砕いてやった。」


    cum : 時間文の導入 (w. ind.) / proximīs comitiīs cōnsulāribus : 民会 (comitia) とは 「ケントゥリア民会」(c. centuriāta ; en.wikipedia "Century Assembly" http://goo.gl/xOE0as) のことで、執政官の選出もこの民会で行われる。マールスの野 (campus Mārtius) で開催される。ここは4カ月前の64年7月の民会を指す。 / competītōrēs tuōs : Sīlānus や Mūrēna を指す / interficere voluistī : キケローはこの選挙の日の前日にカティリーナが打った恐ろしい演説の内容を聞き及び、民会を延期した (cf. Cic. pro Murena 50). / nullō tumultū pūblicē concitātō : ablative absolutive. concitāre はここでは「(馬に拍車をかけて)急きたてる」という意味ではなく、「かき混ぜる、かき立てる」となる。cf. Cic. Verr. 2.1.67.17 "Iste, qui sua cupiditate tantos tumultus concitatos videret"


    (5) 「要するに、何度お前が私に挑みかかってこようと、私は自らの力でお前に立ち向かってきたのである。ただ、私の破滅が国家の大惨事に直結することは了解してはいたが。」


    dēnique : 結論を導入する / petīstī : = petīvistī (syncopated form) / per mē : 文頭におかれて強調されている / obstitī : 人の与格とともに「(人に)対向する、抗う」 / quamquam : 譲歩文の導入 / vidēbam : vidēre {impf. ind. act. 1sg.} 直接法であることから、以下 (AcI) の内容を確信していたことが伺える。このような志向は "L’État, c’est moi syndorome" (Dyck, p.90) と呼ばれる(「朕は国家なり」症候群)。


    [12] (1) nunc iam apertē rem pūblicam ūniversam petis, templa deōrum immortālium, tecta urbis, vītam omnium cīvium, Italiam tōtam ad exitium et vāstitātem vocās. (2) quā rē, quoniam id quod est prīmum, et quod huius imperī disciplīnaeque maiōrum proprium est, facere nōndum audeō, faciam id quod est ad sevēritatem lēnius, ad commūnem salūtem ūtilius. (3) nam sī tē interficī iusserō, residēbit in rē pūblicā reliquā coniūrātōrum manus; (4) sīn tū, quod tē iam dūdum hortor, exieris, exhauriētur ex urbe tuōrum comitum magna et perniciōsa sentīna reī pūblicae.

    (1) 「いまやお前は堂々と国家全体に挑みかかり、不死なる神々の社という社を、市街地の家という家を、遍く市民の生活を、イタリア全土をお前は滅ぼし荒廃させようとしているのだ。」


    nunc iam : 「いまや」 / apertē : [apertus] 「明らかに」 / ūniversam : 「全体の」 / petis : petere {pres. ind. act. 2sg.} ここで文は完結。続く templa . . vocas の文とasyndeton で結ばれる。 / templa . . tecta . . vitam : vocas の直接目的語。/ vocās : vocāre (OLD voco 8 "To bring (into a condition or situation)")


    (2) 「したがって、私は真っ先に為されるべきところの、この職務と父祖の教訓に適うところの措置をとることを敢えて控えるのであるから、厳格さという点では手ぬるいが、公共の安泰のためには有効である措置をとることにする。」


    quā rē : 「このことゆえに」(原因の奪格)≒ quam ob rem / quoniam : 理由を導入する / id : facere の対格目的語 / quod est prīmum : 「最優先事項」すなわち、カティリーナの処刑 / huius imperī : 「この官職に」すなわち、執政官職のこと / disciplīnaeque maiōrum : 「父祖の教えに」/ proprium : 「(属格)に適合する」 / facere nōndum audeō : cf. 1.5 (4) "certa de causa nondum adducor ut faciam" / faciam : {pres. subj. act. 1sg.} ... desiderative subj. / ad sevēritatem : 観点を示す ad. 「厳しさの点に置いて」/ lēnius : 「穏やかな」 (adv.) lēniter の比較級 / ad commūnem salūtem : 「公共の安泰」, cf. 1.11 (2)"summa salūs . . reī pūbulicae" / ūtilius : [ūtī] (adv.) ūtiliter の比較級


    (3) 「というのも、もしお前を処刑するように命じれば、共謀する残りの手勢を国内に留め置くことになるからだ。」


    nam : 前文の説明を導入 / interficī : interficere {inf. pres. pass.} / iusserō : iubēre {fut. pf. ind. act. 1sg.}, cf. 1.5 (3) / residēbit : 「残る」 / coniūrātōrum : coniūrātī ~ōrum, m. [coniūrāre] 「共謀者」 / manus : 「手勢」


    (4) 「だが、私がこれまでずっと勧告してきたように、もしお前が出て行けば、街からはお前の連れからなる国家に溜まった大きく危険な汚物が取り除かれよう。」


    sīn : 「しかしもし」 / quod : = id quod (OLD s.v. is 9b), cf. 1.7 (2) / tē hortor : 「私はお前に推奨してきた」現在形に注意 / iam dūdum : 「これまで長い間」 / exieris : exīre {fut.pf. ind. 2sg.} = exīveris (syncopated form) / exhauriētur : exhaurīre {fut. ind. pass. 3sg. = sentīna} / tuōrum : tuus {masc. pl. gen. = comitum} / comitum : comes ~itis, m. {pl. gen.} / sentīna : (船底の汚水)cf. Grk. ἄντλος.


    [13] (1) num dubitās id mē imperante facere quod iam tuā sponte faciēbās? (2) exīre ex urbe iubet cōnsul hostem. interrogās mē, num in exsilium? (3) nōn iubeō, sed, sī mē cōnsulis, suādeo. (4) quid est enim, Catilīna, quod tē iam in hāc urbe dēlectāre possit? (5) in quā nēmō est extrā istam coniūrātiōnem perditōrum hominum quī tē nōn metuat, nēmō quī nōn ōderit. (6) quae nota domesticae turpitudinis non inusta vitae tuae est? (7) quod prīvātārum rērum dēdecus nōn haeret in fāma? (8) quae libīdō ab oculīs, quod facinus ā manibus umquam tuīs, quod flāgitium ā tōtō corpore āfuit? (9) cuī tū adulescentulō quem corruptēlārum inlecebrīs inrētissēs nōn aut ad audāciam ferrum aut ad libīdinem facem praetulistī?

    (1) 「まさかお前は、私の下命に随うことになるからといって、これまで自らの意思で為してきたことを進めるのに躊躇するわけでもあるまい。」


    num : 否定の答えを予期する疑問文を導入する / dubitas : dubitāre {pres. ind. act. 2sg.} 「ためらう」 / id : quod 節の先行詞。facere の対格主語。 / me imperante : abl. absol. "dubitas id facere" の理由。「私が命令するから(それを為すことをお前はためらっている)」 / quod : id にかかる / iam : すでに / tua sponte : 「お前の意思によって」=「自発的に」/ faciebas : facere {impf. ind. act. 2sg.}


    (2) 「外敵は町から出て行くようにと執政官は呼び掛けているのである。お前は私に問うている、まさか追放に処するのかと。」


    exīre : 対格主語は hostem. / iubet : AcI 構文を取って「(~するよう)指図する」。 Catil.1.10 (3) でのようにここでは「~せよ」と命令法を用いて直接的に指図されているわけではないことから、 / cōnsul hostem. interrogās : num : 否定の答えを予期する疑問文を導入する疑問詞。直接疑問文(話者としてカティリーナを想定)を導入する。 / in exsilium : (sc. mē exīre e.g. exigere, ēicere, expellere)


    (3) 「私はそれを命じはしないが、もしお前が私に助言を求めるなら、そう進言する。」


    cōnsulis : cōnsulere {pres. ind. act. 2sg.}


    (4) 「というのも、何がある、カティリーナよ。今やこの街でお前が喜びを得られるものが。」


    possit : posse {pres. subj. 3sg.} / cf. 1.6 (3) Etenim quid est, Catilīna, quod iam amplius exspectēs (実際、何がある、カティリーナよ、今やお前がこれ以上期待できることが)


    (5) 「それに、ここにはお前に恐怖感を覚えなかったり、嫌悪感を抱かないような者はいないのである。あの腐った共謀者どもを除けばの話であるが。」


    in quā : = et in eā (= hāc urbe) / nēmō est : 「誰も~ない」 / extrā : 「~を除いて」 / istam coniūrātiōnem : 「この共謀(者)」換喩 (metonymy)。OLD s.v. coniuratio 2b / perditōrum hominum : 複数属格 「退廃的な者どもからなる」/ quī : 「~するような者」 nemo にかかる。 cf. 1.5 (5), etc. / metuat : metuere {subj. pres. act. 3sg.} このような関係文中の動詞は接続法におかれる。/ nēmō quī : "metuat et oderit" と同じだが、キケローはこのように文中の要素の反復によって並置することを好む。 / nōn ōderit : (sc. tē) ōdisse {pf. sub. act. 3sg.}


    (6) 「いかなる家庭における恥辱の烙印がお前の生活に焼き付けられなかったか。」


    quae : qui quae quod {fem. sg. nom. = nota} 修辞疑問文を導入 / nota : 「烙印」 逃亡奴隷 (fugitīvus) の額に焼き付けられる F の文字が思い浮かべられる。 / domesticae : 「家庭の」 / turpitudinis : 「(見た目の)醜さ、恥辱、不名誉」 / inusta est : inūrere {pf. ind. pass., 3sg. = nota} in- + ūrere (焼く) / vitae tuae : {fem. sg. dat.}


    (7) 「個人的な事柄におけるいかなる不徳が名声に貼り付いていないのか。」


    quod : qui quae quod {neut. sg. nom = dedecus} 修辞疑問文を導入 / prīvātārum rērum : 「個人的な事柄、私事」/ dēdecus : [de- + decus (優雅さ・品格・徳) < decēre (飾る)] 「不面目、不徳義」 / haeret : haerēre {pres. ind. act., 3sg. = dedecus} / fāma : 「報せ、噂、言い伝え、名声」 cf. fārī (FOR, 話す)


    (8) 「いかなる情欲が両の目から、いかなる犯罪がかつてお前の両の手から、いかなる悪事がその全身から、消えた状態になったか。」


    3つの修辞疑問文が "tricolon crescendo" の形式で重ねられる (quae libido . . , quod facinus . . , quod flagitium . . ?)


    (9) 「堕落させる誘惑によってお前が寄せ集めた若者に、お前は放逸にふけるための武器を、放蕩のための松明を差し出さなかったか。」


    cuī : qui quae quod {masc. sg. dat. = adulescentulo} 修辞疑問文を導入する。「お前が~したところの若者に対して」 / adulescentulō : adulescentulus ~a ~um {masc. sg. dat., as sb.} = adulescēns + 指小辞 -ulus 「少年」 / quem ; qui quae quod {masc. sg. acc. = adulescentulum} / corruptēlārum : [corrumpere (corrupt-) + -ēla] 接尾辞 -ēla/-ella は基本的に動作をそのものを言い表す名詞を作るので、基本的には動詞から派生する (e.g. loquēla < loquī ; querēla < querī ; tūtēla < tuērī ), cf. rumpere 「裂く」 / inlecebris : illecebra ~ae, f. {pl. abl.} [illicere (in- + lacere) "誘惑する" + -bra] 「好餌(誘惑物)」 接尾辞 -bra は -bulum (-bula), -culum, -crum, -trum なんかと同じく、基本的には動詞の語幹にくっ付けられて、その動詞の表す動作を遂げるための手段や道具を意味する名詞を形作る。 / inrētīssēs : irrētīre {plpf. subj. act. 2sg.} [rēte ~is, n. "(捕獲のための) 網"] 「(網で)捕獲する」 ここまでが関係文。 / nōn : praetulisti にかけられて「差しださなかったか?」 / aut . . aut : 「あるいは . . あるいは」 / ad : 目的の前置詞。 / ferrum : praeferre の対格目的語 / libīdinem : 「情欲」 / facem : fax facis, f. 「松明」 / praetulistī : praeferre {pf. ind. act. 2sg.}



    [14] (1) quid vērō? nūper cum morte superiōris uxōris novīs nuptiīs locum vacuēfēcissēs, nōnne etiam aliō incrēdibilī scelere hoc scelus cumulāvistī? (2) quod ego praetermittō et facile patior silērī, nē in hāc cīvitāte tantī facinoris immānitās aut exstitisse aut nōn vindicāta esse videātur. (3) praetermittō ruīnās fortūnārum tuārum quās omnīs proximīs Īdibus tibi impendēre sentiēs: (4) ad illa veniō quae nōn ad prīvātam ignōminiam vitiōrum tuōrum, nōn ad domesticam tuam difficultātem ac turpitūdinem, sed ad summam rem pūblicam atque ad omnium nostrum vītam salūtemque pertinent.

    (1) 「さらに、どうなんだ、ついこの間、再婚のためにお前が前妻を殺害してその座を空けた時、お前はこの悪事をさらに他の信じ難い悪事によって増し加えはしなかったか。」


    quid vērō? : 疑問文導入の標しとして (cf. 1.8 (1) quid? ). この vero の用法は (Kroon, p. 319 ff.) で "the chiaroscuro effect" (コントラスト効果)と名付けられるもの。 / nūper : 「最近」 / cum : 時間文の導入。直接法過去完了を従える(vacuēfēcissēs)。 / morte : 手段の奪格 / superiōris uxōris : 「前妻」 / novīs nuptiīs : nuptiae ~ārum, f.pl. {dat.} 「(新しい)結婚」。Aurelia Orestillaとの結婚を指す。目的の与格 / locum vacuēfēcissēs : 「(妻の)場所を空ける」 vacuēfacere [vacuus "空っぽの" + facere] / nōnne : 相手の肯定を予期した疑問文の導入。 / etiam : 追加の接続詞 「さらに」 / aliō incrēdibilī scelere : 「他の信じ難い悪事」(B). 手段の奪格。前妻との間の子の殺害。/ hoc scelus : =前妻の殺害 (A) / cumulāvistī : 「(AをBによって) 積み上げる→増大させる」(OLD s.v. cumulō 5)


    (2) 「だが、それについては言わないでおく。私は、この国にはかような悪事の残虐性が立ち現れるのかとか、それが罰せられもしないのかなどと、斯様に思われないためであれば、苦もなく黙っておくことに耐える。」


    quod : = sed ea (relative as a connection), qui quae quod {neut. sg. nom. = aliud incrēdibile scelus} / ego praetermittō : 「言及しない」と言われるが、すでに言及して議員らにその凶行をありありと思い浮かべさせているし、以下でも婉曲的に言及される (praeteritio). / facile : adv. (neut. sg. acc. of FACILIS) 「容易に」 (OLD s.v. patior 4c) / patior : patī {pres. ind. dep. 1sg.} 「(inf. することを)我慢する」 / silērī : silēre {pres. inf. pass.} 「静かである、黙っている」→(受動態)「(~について)沈黙する」 (OLD sv. sileo 3) / nē : 否定の目的文を導入する。「(NcI) と思われないために」 / in hāc cīvitāte : ローマのこと / tantī : / facinoris : facinus ~oris, n. {sg. gen.} 「犯罪、悪事」 / immānitās : 「残虐性」 / exstitisse : exsistere aut exstāre {pf. inf. act.} / vindicāta esse : vindicāre {pf. inf. pass.} / videātur : vidēre {pres. subj. pass. 3sg. = immanitas}


    (3) 「お前の経済的な破綻については触れないでおこう。完全なる破綻が来たる13日に差し迫っていることにお前は気づくであろう。」


    praetermittō : ここでもまた praeteritio (省略すると言って逆に強調する技法) がもちいられる。「 (acc.) を述べないでおく」 / ruīnās : ruīna ~ae, f. {pl. acc.}, [< ruere (倒壊する)], 「倒壊、破滅」 / fortūnārum : fortūna {pl. gen.} 「(複数)財産」 quās : rel. pron. {fem. pl. acc.} = ruīnās / omnīs : {fem. pl. acc.} / proximīs Īdibus : この演説が行われているのが前63年の11月8日 (ante diem sextum Īdūs Novembrēs) なので proximis idibus は5日後。November は小の月なので Īdūs は13日。 / impendēre : [in- + pendere] 「差し迫っている」 / sentiēs : sentīre {pres. subj. act. 2sg.}


    (4) 「」



    [15] (1) potestne tibi haec lūx, Catilīna, aut huius caelī spīritus esse iūcundus, cum sciās esse horum nēminem quī nēsciat tē prīdiē Kalendās Iānuāriās Lepidō et Tullō cōnsulibus stetisse in comitiō cum telō, manum cōnsulum et principum cīvitātis interficiendōrum causā parāvisse, scelerī ac furōrī tuō nōn mentem aliquam aut timōrem tuum sed Fortūnam populī Rōmānī obstitisse? (2) ac iam illa omittō — neque enim sunt aut obscūra aut nōn multa commissa posteā — quotiēns tū mē dēsīgnātum, quotiēns vērō cōnsulem interficere cōnātus es! (3) quot ego tuās petītiōnēs ita coniectās ut vītārī posse nōn vidērentur parvā quādam dēclinātiōne et, ut āiunt, corpore effūgī! (4) nihil agis, nihil adsequeris, neque tamen conāri ac velle dēsistis.

    (1) 「カティリーナよ、レピトゥスとトゥッルスが執政官の年の12月29日にお前が武装して民会会場に現れたこと、両執政官と有力市民の殺害のために人手を用意したこと、お前の狂気的な企みを妨げたのはお前の良心でも恐れでもなくローマ市民の守り神であったこと、これらのことを知らない者はこの中に誰もいないのに、お前にはこの光が、またこの空の風が心地よいものであり得るか。」


    — potestne tibi haec lūx, Catilīna, aut huius caelī spīritus esse iucundus,
    potestne : 後倚辞 -ne によって疑問文が導入される。「 (Nom. c. Inf.) であり得るか」 / tibi : 利害の与格 / haec lūx : 窓から議場に差し込む光を指しているか / aut : 「あるいは」 / huius caelī : 窓から覗く空を指しているか / spīritus : 「風」 / esse iucundus : 「心地よい」

    — cum sciās esse horum nēminem quī nēsciat
    cum : (w. pres. subj.) 理由文を導入する / sciās : scīre {pres. subj. act. 2sg.} 「(AcI) であることを知っている」 / esse : 存在の esse / horum : 議場にいる議員を指す。部分の属格で 「ここなる者のうち」 / nēminem quī nēsciat : 「(inf.) を知らない者は誰も(いない)」

    — tē prīdiē Kalendās Iānuāriās Lepidō et Tullō cōnsulibus stetisse in comitiō cum telō,
    tē : stetisse の対格主語 / prīdiē Kalendās Iānuāriās : 1月1日の前の日=12月29日 (pridie = ante diem secundum) / Lepidō et Tullō cōnsulibus : 「レピドゥスとトゥッルスが執政官の年」= 3 年前の前66年のこと。このように、一般に年はその年の執政官の名前で言われる / stetisse : stāre or sistere {pf. inf. act.} / in comitiō : comitium {sg. abl.} 「民会会場」 / cum telō : 「武器を持って」

    — manum cōnsulum et principum cīvitātis interficiendōrum causā parāvisse,
    manum : parāvisse の対格目的語 「人手を準備したこと」/ cōnsulum : cōnsul ~is, m. {pl. gen.} interficiendorum の目的語 / principum cīvitātis : princeps ~ipis, m. {pl. gen.}, cīvitās ~ātis, f. {sg. gen. = partitive} / interficiendōrum causā : causā + gen. of gdve = 目的 / parāvisse : parāre {pf. inf. act.}

    — scelerī ac furōrī tuō nōn mentem aliquam aut timōrem tuum sed Fortūnam populī Rōmānī obstitisse?
    scelerī ac furōrī tuō : scelus ac furor tuus {sg. dat.}. obstāre は与格をとって「(dat.) の邪魔をする」 / non (acc.) sed (acc.) : obstitisse の対格主語。~でなく~が mentem aliquam : 「正気」 / timōrem tuum : 「恐れ」 / Fortūnam populī Rōmānī : ローマ市民の運命の女神が / obstitisse : obsistere {pf. inf. act.}


    (2) 「もうそれらの事も省略しよう。というのも、それらは知られていないわけでもなく、その後ほんの僅かだけ犯されたわけでもないのだから(=その後も狂気的な犯行は幾度となく繰り返された)。何度お前は次期執政官の時の私を、そして執政官となった私を殺そうと企んだことか。」


    ac : Catil. 1.14 (3) の praetermittō と omittō を繋ぐ接続詞. / iam : / illa : demonstr. pron. {neut. pl. acc.}. 直前の (1) において不定詞句で言われた事どもを指す. / omitto : ここも PRAETERITIO / neque : 「~でもない」 / enim : 理由の導入を示す / sunt : esse {pres. ind. act., 3pl. = illa} / aut . . aut : 主語 illa の補語となる obscura と commissaを繋ぐ「~でも~でも(ない)」/ obscura : obscurus 「暗い、人目に触れない」 {neut. pl. nom.} / non multa : LITOTES (緩叙法) で「とても僅かな」. multus {neut. pl. nom.} / commissa : ppp. of committere 「(悪事を)はたらく」 / postea : adv. 「その後」/ quotiens : 感嘆文を導入する (OLD s.v. quotiens 2) 「いかほど頻繁に」. "non multa ~ " を受けて. / designatum (es) : dēsīgnāre {pf. ind. pass., 2sg.}(家畜に耳標をつけるときにも使われる表現) / vero : "the chiaroscuro effect" cf. Catil. 1.14 (1) / consulem : キケローのこと / interficere : 「殺害すること」/ conatus es : cōnārī {pf. inf. act., 2sg.} 「( inf. することに) 励む、試みる」


    (3) 「何度私はお前の不可避的に繰り出された攻撃を、いわばほんの僅かに体を傾ぐことによって逃れてきたことか。」


    quot : 回数を尋ねる疑問詞、「何度~か?」. ここでは感嘆文を導く. / ego : effugi の主語 / tuās petītiōnēs : {fem. pl. acc.} / ita coniectās ut : petitiones を修飾する分詞. 指示副詞 ita は関係副詞 ut の先行詞で、疑問副詞 quomodo 「どのように?」に対応する。「そのように繰り出された(攻撃)」 / vītārī posse : vītāre {inf. pres. pass.} 「避けられ得る」 / nōn vidērentur : vidēre {subj. impf. pass. 3pl.} 複数の人称語尾は petitiones の複数形を受けたもの.「(避けられ得る)と思われないように(繰り出された攻撃)」 / parvā quādam : parvus, quīdam {fem. sg. abl. = declinatione} / dēclinātiōne et corpore : hendiadys (二詞一意) と解して「体の(ほんのわずかな)傾ぎによって」 / ut āiunt : 「いわば」/ effūgī : 「逃れる」


    (4) 「お前が何かを果たし、何かを得ることはない。にもかかわらず、お前は企み、意欲することを思い止まることもない。」


    nihil . . , nihil . . : asyndeton (接辞省略). / agis : agere {pres. ind. act. 2sg.} 「(何かを)得ようと努める」(OLD s.v. ago 27) / adsequeris : adsequī {pres. ind. mid., 2sg.} 「獲得する」 (OLD s.v. assequor 4) / neque : 否定文における等位接続詞 (cf. atque) / tamen : 譲歩的意味合いを付与する / conari ac velle : {inf. pres. act.} / desistis : dēsistere {pres. ind. act. 2sg.}


    (5) 「」



    [16]

    (1) 「」



    (2) 「」



    (3) 「」



    (4) 「」



    (5) 「」



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    【2014/06/04 22:20】 yomimono | TRACKBACK(0) | COMMENT(0)




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